マナーうんちく話544≪薔薇で攻めるか、それとも恋文か?≫
マナーとは、価値観も文化も異なる人達が良好な人間関係を築くためのものですから、特別な人のためでも、特別な場所での、特別な作法ではありません。
言い方を変えれば、国際化や情報化が急速に進展し、複雑多様化する社会で、他者を思いやり、上手にコミュニケーションを図るためのものです。
しかし、言葉も、文化も、食習慣も、気候風土も、宗教も異なる外国人と交流を図る際、ある一定の基準や取り決めが無いとスムーズにはまいりません。
特に国と国の国家的行事においては最低限の取り決めが必要です。
そこで国と国の間で行われる公的行事などで、とるべき儀礼として「プロトコール(国際儀礼)」が定められました。
慶事や弔事に関するしきたりは地域性が大きいのが特徴です。
お盆の行事でも、今なお旧暦で行う地域も有れば、新暦で行う所もあります。正月のお節料理にしても地域性が明確に表れています。
だからこそ、しきたりや価値観が異なる多様な人々が集い、一つの行事をとりおこなうに当たっては、共通の取り決めが必要になってくるわけです。
主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」が三重県志摩市で、オバマ米大統領、キャメロン英首脳、メルケルドイツ首相、さらにフランス、イタリア、カナダ、EUの首脳が参加して開幕されました。
日本での開催は6回目8年ぶりで、東京意外で行われるのは、北海道の洞や湖サミット以来ですね。
このように国際化を迎え、諸外国からお客様をお迎えする機会が年々増加している中、国際基準に沿った社交のルールは単に外交の現場のみならず、民間の立場であっても心得て置く必要があります。
ちなみにプロトコール(protocol)の語源は、古代ギリシャで作成されたパピルスの束の上に書かれていたプロトコロン(protokollon)と言う言葉だとされています。
社会的立場の高い人が守るべき覚書を意味するそうですが、それが国と国が交流する際の基準になったようですね。
そして今では、海外のお客様をお迎えするに当たり、国旗の取り扱いや服装や席順など、国際的な基本儀礼が決められています。
従ってプロトコールとは、外交を推進する潤滑油のようなものと認識して頂ければ良いと思います。
勿論国の大小には関係なく、全て平等に扱われます。
現在はサミットが開催されていますが、2020年には東京オリンピック及びパラリンピックも開催されるので、国際時代に対応するプロトコールは是非知識として理解して頂きたいものです。
個人と個人ではなく、国と国のように相対する単位が大きいことがプロトコールだと認識して頂いたらいいと思います。
加えて、互いの習慣やしきたりの違いを尊重し合うものです。
従ってプロトコールと聞いて構えてしまう必要はありません。
その基本は何度もお話ししたように、形式以前の心の在り方です。
つまりマナーやプロトコールは言葉の意味やニアンスは異なっても、その根底にあるものは古今東西共通と言えるのではないでしょうか。