マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
日本列島が百花繚乱で花満ちる頃になりました。
「春爛漫」という美しい言葉が存在しますが、春の陽光を精一杯楽しんでいる人も多いと思います。
そして新鮮な活力が生まれるわけですが、これからはタケノコ、ワラビ、ゼンマイなど「初物」に恵まれる頃でもあります。
今のように娯楽が無かった時代には、季節を先取りして楽しむ文化が生まれたようですね。
特に和食や和菓子の世界では初物を重宝しますが、それはその名残で、四季が明確に分かれて美しい国ならではの美意識でしょうか。
ただこれにも地域性があり、日本全国共通ではありません。
関東と関西では味に違いがあるように、野菜や魚に対する感覚も違います。
例えば関東では「初物」に人気があるようです。
江戸っ子が「女房を質に入れても食いたい初鰹」と詠んでいるのもその典型ですね。
では「初物」とはなんでしょうか?
初物とは、「その季節に始めて収穫した魚や野菜や果物」のことですが、「まだ誰も手をつけてないもの」という意味もあります。
そして初物を好んで食べる人の事を「初物食い」と呼びます。
周囲にも結構初物食いの人は多いのではないでしょうか・・・。
また、世界屈指の「飽食の国」「美食の国」になったせいで、初物を追い求めるのはもはや国産ばかりではなくなりました。
秋の「ボジョレーヌーボ」もそうですね。
フランスで収穫されたボジョレーの新酒を、日本人が世界で一番先に楽しんでいるのも贅沢な話しです。
空輸便で日本に到着するわけですから、料金も当然それなりに高くつきます。
一月位待って船便の物にすればかなり安くなるのに、おかしな傾向ですね・・・。
ではなぜ、それほどにまで「初物」を追い求めるのか?
もともと日本人が初物に興味を示したのは、初物を食すと幸運に恵まれ、長寿が叶うからだとされていました。
初物には他の食べ物にはない生気が満ち溢れているから、それを口にすることで長生きできると考えたわけですね。
以前このコラムで初物を食べると75日命寿命が延びると言いましたが、「初物七十五日」と言う諺があります。
この理屈に沿えば、75日おきに何らかの初物を食べれば、人生100歳も可能になりそうですね。
全国に100寿を迎えた人は6万人を超えていますが、皆さん初物がお好きでしょうか?きになるところです。
私は何でも好き嫌いなく、良く噛んで、楽しく、感謝の心で食べるのがいいと思います。