マナーうんちく話535≪五風十雨≫
立春から10日過ぎましたが、二月は「着更着」の異名を持つようにまだまだ寒い日が続きます。
そして、この寒さの事を「春寒(はるさむ)」もしくは「余寒」と表現します。
立春を過ぎたら「寒中見舞い」から「余寒見舞い」になるのはそのためです。
早春を華麗に彩る梅の花が見頃を迎えており、各地で多彩な行事が開催されています。万葉集の時代から多くの歌に詠まれている梅は、日本人にとって大変なじみが深く、特に「松竹梅」と言われるように慶事にはつきものです。
我が家の梅も次第にほころんできましたが、最近鮮やかな緑の羽根をした「メジロ」が庭木の間を飛び交うようになりました。
目の周りが白いからメジロと言いますが、二羽で行動を共にする仲睦ましい姿は、まさに早春の風物詩です。
メジロより早くやってくるのが「春告げ鳥」の名前を持つ「ウグイス」ですが、ウグイスの美しい声は、さらに山奥に行かなければなかなか聞くことができません。
ところで「梅」と「ウグイス」といえば、古代の人は「梅に鶯」と言って春の到来を喜んだものですが、この意味をご存知でしょうか?
「春になって梅の花が咲いて、そこに鶯がやって来て「ホーホケキョ」と美しい鳴き声を響かせる」と解釈している人が多いと思いますが、そうではありません。
むしろ、梅の木によく止まっているのはウグイスより、人慣れしているメジロの方が多いような気がします。
そうだからといって「梅にメジロ」でもありません。
梅は「春告げ花」、メジロは「春告げ鳥」で、どちらも春の到来を告げるので、「良く調和している」「お似合い」、つまり「二つのものが良く調和して似合っている」たとえです。
昔から和歌や絵画や掛け軸などに好んで取り上げられているのも、春の目出度さを醸し出してくれるからです。
最近では、鮮やかな花鳥風月を絵柄にした「花札」をする人は少なくなりましたが、「牡丹」に「唐獅子」もよく知られています。
ちなみに唐獅子はライオンで「百獣の王」として有名です。
一方牡丹は「百花の王」といわれていますので、この二つは「梅と鶯」のように、組合せとしてはぴったりです。
「竹に虎」もあります。
虎も百獣を代表する動物ですが、像が苦手です。そして像は竹藪が苦手です。だから虎は像に襲われたら竹藪に逃げ込むわけです。だから竹と虎も組み合わせとしては釣り合っているわけです。
人もそうですね。
よく「お似合いのカップル」と言うことを聞きますが、こればかりは人それぞれで、何とも言えませんが如何でしょうか。
しかし「美女と美男」は良く用いられるお似合いのカップルのパターンですが、この他、価値観、身長や体重のバランス、服装や食べ物の好み、学歴、出身地等もあるでしょう。
いずれにせよ、互いが互いを必要として、共に支え合って生きているカップルは素敵ですね。
それぞれ「お似合い」の相手と一緒になって、釣り合いが取れることを「牛は牛連れ、馬は馬連れ」と言いますが、やはり釣り合いのカップルは幸せだと感じます。
最近では恋愛観や結婚観が変わり、2月14日のバレンタインデーの本命チョコが不要な人も多いと思いますが、「朝起きて共に美味しいお茶を飲める相手がいる」と言うことは、本当に幸せなことだと思うわけです・・・。