マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
最近、少子化、核家族化、が進展し、夫婦や家族間の会話や協調が希薄になり、それに加えて「お隣さん」「向う3軒両隣」「ご近所さん」など、隣近所との付き合いもすっかり薄くなりました。
これらの傾向は益々深まりつつあり、加えて国際化は急激に進んでいます。
だからこそ、日常生活の中で生きている古くからのしきたりや風習の意味や意義を再認識し、暮らしの知識や知恵を深め、人付き合いを円滑にし、次世代につなげることの大切さに前回触れましたが、今回は「しきたり」と「陰陽道」の関係に触れておきます。
明治維新からのしきたりや風習は主に欧米から入ってきています。
「結婚記念日」「母の日」「父の日」などです。
一方、江戸時代までのしきたりや風習は主に中国から朝鮮半島を経て入ったものが多いようです。
特に平安時代以前に大陸から伝わったものも多々あり、それが長い月日と共に多くの人の手を経て、現在に至るものも少なくありません。
そして、それらに非常に大きな影響を与えているのが「陰陽道」です。
冠婚葬祭を語るには、陰陽道の思想を抜きにはできないということです。
5世紀から6世紀にかけ仏教や儒教と共に「陰陽五行説」が中国から伝わり、日本でも特異な発展を遂げたようですが、10世紀になると映画やテレビでおなじみの、陰陽道の占術に長け、宮廷の信頼度も高かった安部晴名が登場します。
陰陽道の思想は非常に複雑で詳しくは良く理解できませんが、要はこの世は「陽」と「陰」が補完しながら、バランスをとりながら成り立っているという考えです。
そして、自然を始め、万物全てを陽と陰に定めています。
例えば、太陽は陽で、月は陰です。
昔の暦で、陰暦は月の満ち欠けが基準になっていますが、陽暦は太陽の動きが基準になります。
また、日本ではお芽出度い数字は奇数ですが、奇数は陽で、偶数は陰です。
さらに五節句の中で一番格式が高いと言われる「重陽の節句」は9月9日ですが、これは、9は陽の最高位に当たる数字で、それが重なっているから縁起が良いとされます。
さらに数字の捉え方は様々なところに表れています。
例えば「三三九度の儀式」や「七五三」などもそうですね。
いずれも陽である奇数を尊ぶ考えです。
この他、男性は陽で、女性は陰と捉えます。
それから昼は陽で、夜は陰とされています。
これらの考えは、明治になるまで幅を利かせていたようですが、明治新政府は迷信として廃止しました。
しかし現実的には今も生きています。
例えば、長い人生の中で特定の年に災難が降りかかる年があり、その年は身を慎むと言う「厄年」も陰陽道によって説かれた考えです。
「六曜」もそうですね。
大安には結婚式が多く、友引の日に葬式はありませんね。
いくら科学万能といえ、1000年以上続いてきた思想は簡単に変わらないということでしょう。
信ずる、信じないはその人次第ですが、私の知り限りでは結構気にする人が多いようですが、如何でしょうか・・・。
大切なことは、しきたりの由来を正しく理解し、自分なりの考え方を持つことだと思います。