まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
日本は四季に恵まれているせいでしょうか?
年中行事の数は世界屈指だと言われています。
中でも「月を愛でる習慣」は現在でも受け継がれており、一年で一番美しいとされる「仲秋の名月」には、全国津々浦々で多彩なイベントが繰り広げられていますね。
そして10月25日は、仲秋の名月に次いで美しいとされる「十三夜」です。
平成27年の仲秋の名月は確か9月27日でしたが、その約ひと月後にもう一度お月見をするわけです。
仲秋の名月の後にするお月見ですから、十三夜は「後の月」と言われます。
また仲秋の名月の頃の旬の野菜は芋で、その芋をお供えしたので中の名月は「芋名月」とも言われましたが、「後の月」の頃には栗や豆が収穫期を迎え、栗や豆をお供えすることから十三夜は「栗名月」「豆名月」ともいわれます。
ただ私が住んでいる所では栗の収穫期はすでに過ぎており、豆や芋が収穫期を迎えています。地域により異なりますね。
それはともかくとして、「後の月」は「仲秋の名月」に比較して、大きく異なる点があります。ご存知でしょうか?
仲秋の名月は「十五夜」の満月を愛でるわけですが、後の名月は満月ではなく、「十三夜」です。
まん丸い月、つまり完成されたものではなく、少し欠けています。
それを謙虚で美しいと捉える日本人独特の感性です。
つまり、十五夜のように完成してしまったらもう次は無くなりますが、十三夜のように、未完成だと次に期待が持てるわけです。
扇子を使用する時にも全開しませんね。
少し残した状態で使用するのですが、同じ理屈でしょう。
そして、仲秋の名月を見たら後の月も愛でなければ、縁起が悪いとされていますが、これは「片見月」といって江戸時代の遊女が仕掛けた営業戦略です。
満月は遊女たちにとってかき入れ時になるわけですが、一度だけでなく約一月後の「後の月」もかき入れ時になるようにこのような迷信を作り、客寄せを図ったと言われています。
「茶柱が立ったら縁起が良い!」と吹聴して、比較的売れにくい二番茶を積極的に売ったお茶屋、七五三に参拝客に「千歳飴」と言う縁起の良い名前を付けて売った菓子屋、夏の閑散期に鰻の蒲焼を広めた平賀源内等など・・・。
江戸の人は実に商魂たくましいですね。
それに負けるとも劣らないのが、現代のビジネスマンでしょう。
キリスト教系のお盆と収穫祭の意味合いを有すハロウイーンを利用して、神様仏様の国日本でハロウイーングッズを売り込む商才もすごいです。
但し、仁義なき戦いのように、何でもかんでも売れればいいのではなく、本来の由来を正しく伝えたいものですね。個人的には、儲けに関わらず日本の伝統行事を大切にして、次世代に伝えて頂きたいと思っています。
十三夜には関心ないが、ハロウイーンには興じるというのは本末転倒だと私は思いますが、如何でしょうか?
カラスの勝手でしょうと言われれば元も子もありませんが・・・。
ところで、十三夜に引き続き「十日夜の月」がありますがご存知でしょうか?
「仲秋の名月」そして「後の月」の後に続く月のことで、「三の月」とも言われます。
旧暦10月10日の月ですから「十日夜の月(とうかんやのつき)」と言い、新月から数えて10日目の月ですね。
仲秋の名月、十三夜、十日夜の月はそれぞれ表情が異なり、先人はそれぞれユニークな名前をつけて風情を楽しんだわけですが、三つの名月を愛でると、さらに縁起がいいと言われています。
今年は是非お試しくださいね。