マナーうんちく話401≪喪中はがきの知識ととらえ方≫
結婚式や入社式などでは「乾杯」と言う言葉を使用しますが、葬儀や法事では「献杯(けんぱい)」という言葉を使用します。
献杯の意味は相手に対して敬意を表すために盃をさすことですが、乾杯はお目出度い時に使用されるので、弔事には乾杯に変わる言葉として献杯が使用されるようになりました。
従って葬儀や弔事の時に献杯するのは、「故人を悼み、盃を捧げるため」と理解して頂ければ良いと思います。
もともと乾杯が日本で初めて使用されたのは、江戸幕末の頃です。
1854年に「日英和親条約」が締結された後の宴席でのことですから、まだ歴史はそんなに長くは有りません。
では、「献杯」と言う言葉が法事などで何時頃から使用され始めたのでしょうか?
私がホテルに入りたての頃には、既に法事などがホテルで行われていましたが、当時は「献杯」という言葉はまだ使用されてなかったように思います。
勿論地域差はあるかもしれませんが・・・。
従って、この言葉はまだ半世紀もたっていないと思います。
以前にも述べましたが、そもそも乾杯の由来は古代、神や死者に対して酒を捧げた宗教儀式が転じて、健康、入学、入社、成功等を祝う儀式になったいきさつがあります。
日本の神前結婚式などでは、「三三九度」の儀式をしますね。
ところで、献杯は具体的には、葬儀・告別式後や法事(法要)の席などにおいて、食事をする時ですが、行う場合もありますが、行わない場合もあります。
施主や遺族で相談されたらいいと思いますが、故人が、酒が好きで生前、皆と酒を酌み交わされていた様な人であれば、取り入れられたらいいと思います。
どの場面で、どのようにするかは、細かい決まりは有りませんが、概ね下記の様にされたらいいでしょう。
タイミングは、儀式が終わって、会食を始める時です。
○位牌にお酒を捧げて下さい。
○遺族代表の挨拶をして下さい。
内容は、会葬のお礼や(法事の場合は参列のお礼)と、これから会食を始めさせていただきますという挨拶がお勧めです。
○献杯の発声人の指名(お願い)。
「それでは○○さまに献杯の音頭をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします」等とお願いして下さい。
○指名された人は献杯の挨拶を手短に述べて下さい。
予め打診される場合も有れば、その場でお願いされる時もあります。
故人を偲ぶ言葉やお悔やみの言葉を添えて、1分位で纏めて下さい。
○挨拶終了後に献杯
○黙祷
「マナーうんちく話1042《正しく理解したい「黙祷」の知識と作法》」を参考にして下さい。
黙祷が終わった時点で、「遺族がありがとうございました。それではお食事を始めて下さい」と挨拶して、食事がスタートします。
食事中は、故人の話題が中心になります。
結婚式は当事者が主体的に色々な事を執り行うことが出来ますが、葬儀や法事はそうはまいりません。
遺族や故人と親しかった人が中心となり、計画が進められると思いますが、予算がかかることではありませんので、故人になり変わり、なるべくとりおこなって下さいね。
形式より真心が大切です。