まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
和食がユネスコの無形文化遺産に登録された理由の一つに、年中行事との深い関わりがあります。
お正月とお節料理、秋祭りとお寿司等はその典型ですが、お盆に「そうめん」を食べるのも、それなりの理由が存在します。
里帰りして、家族水入らずで、冷やしそうめんを食す機会も多いと思いますが、話の種にして頂き、家族の絆を深めて下さい。
「マナーうんちく話1019・1020《国際化に向けて再認識したいお盆の意義》」を二回に渡り掲載しましたが、参考にして頂くとより納得して頂けると思います。
お盆は仏様をお迎えして、お持て成しをして、再度お見送りする行事ですが、仏様をお迎えするに当たり精霊棚を用意します。
そこには位牌を始め、ローソク、生花、果物、お供え物を飾りますが、ソウメンもぜひお供えして下さい。
お盆に「そうめん」を飾る理由は次の通りです。
●七夕との関連
お盆は七夕と共に始まりますが、七夕には裁縫や書道の上達を祈願する行事も含まれます。その際裁縫の上達を願うに当たり、細長いそうめんを、裁縫に使用する「糸」に見立ててお供えするわけです。
●仏様がこの世とあの世を行き来する際の乗り物が、胡瓜で作った馬と、茄子で作った牛ですが、お帰りの再使用するのが茄子の牛で、それにお土産を沢山載せてお持ち帰りいただきます。そうめんは、その牛を操る「手綱」になると共に、お土産を束ねる「紐」になるわけです。
●幸せが、そうめんのように「細く長く続くように」願いを込めてお供えします。正月を迎えるに当たり、大晦日に年越しそばを食べますが、その理由の一つに、そばのように細く長く幸せが続くようにとの理由がありますが、同じような理屈ですね。
ちなみに、お供えする生花は「心を清める目的」がありますが、萩や桔梗や女郎花や撫子などの秋の七草が主流になります。
また、ほおづきをお供えするのは、仏様の足元を照らす「盆提灯」に見立てるためです。
そして期間中は、家族が食べるものと同じ内容のお膳をお供えするお家もあります。
野菜の煮物や炒め物や和え物等が主流になります。
家族とご仏様が、同じものを頂き、仏様を偲ぶわけです。
だから、そうめんは人が食べられる状態でお供えして下さい。
つまり、ゆでで箸と麺つゆを添えて下さいね。
余談事になりますが、そうめんを美味しく食べるコツは、茹であがった時に、ぬめりがなくなるまで、しっかり流水で洗うことが大切です。
加えて、冷やしそうめんを食べる時のマナーは、音を立てていいか?否か?については賛否両論あります。
TPOに応じればいいと思います。
ポイントは、一口で食べられる量だけ箸で取り、食べきることです。
ソウメンの歴史は非常に長いわけですが、今のように冷やして夏に食べるようになったのは江戸時代からです。
ところで、精霊棚に果物やお供え物をする時に「はすの葉」をお盆の代わりに使用することがあります。お盆の語源の一つはここにあります。
「お盆」と「そうめん」の関係を理解して頂いたら、ご先祖様がどのような思いでお盆を迎えてきたか、思い浮かべてみるのもお勧めです。
そうすることにより、家族の絆がさらに深まります。