マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
梅雨の無い北海道を除き、日本全国で梅雨が明け、暑さがピークに達しました。
酷暑、猛暑、激暑、大暑等など、暑さにも色々な言い方がありますが、全ての漢字が当てはまるような暑い毎日ですね。
それもそのはず。
暦の上では、土まで暑くなり、熱気がまとわりつくように蒸し暑い時期とされている頃で、「土潤いてむし暑し(つちうるおいてむしあつし)」と表現されています。
しかし、昔に比べ地球の温暖化が促進されているせいでしょうか?
暑さも半端ではなくなりました。
そのせいで、不快指数は益々高くなり、熱中症、夏バテ等の言葉が飛びかうようになります。
こうなると、頼りになるのがクーラーですね。
今や熱中症予防にクーラーは欠かせない存在になりましたが、クーラーを使用すればするほど地球に負荷をかけ、温暖化を促進するわけですから皮肉なモノです。
その点昔の人は、自然と仲良くしながら、暑さ寒さをしのいでいたのですからりっぱです。その知恵や心構えを少し見習うのもいいですね。
例えば「打ち水」。
打ち水の歴史はかなり古いようですが、江戸時代には俳句や浮世絵にも登場するようになります。
ところで、打ち水はなんのためにするのか、ご存知でしょうか?
様々な目的があります。
茶の湯の世界では、礼儀作法として打ち水が行われますが、茶の湯に限らず、水を蒔くことで、お客様を心地よく迎えることができます。
さらに、冷たい水を蒔くことで、暑さを和らげる効果が期待できます。
道路の埃を鎮める効果もあります。
そして意外に知られていないのが、「お清め」の意味です。
昔は神様が通る道を、水を打って清めていたのですね。
ちなみに、今でも、水で心と身体を清める習慣は、神社等を参拝する時の「手水舎」に見ることが出来ます。
神社仏閣にお参りする前に「手水舎」で、手を洗い、口を注いで身を清めますね。
《水を打つ それも銭なり 江戸の町》(小林一茶)
お客様を呼び込む目的で、桶を手に水を打っているのでしょうか。
水を打って、店の入り口や玄関を清めることにより、お客様に心地良く店に入ってもらい、より良い人間関係を築きたいと言う気持ちが伝わります。
現代人にとっては、「打ち水」は何気ないことかもしれませんが、日本人の生活の知恵や人生観などが散りばめられた伝統文化です。
そこに込められた多様な意味を理解し、持て成しの心を表現し、猛暑の夏の一服の清涼剤にしたいものです。
加えて、日本でこのような文化が発展したのは、緑や水などの自然の恵みが豊かだったからです。
それに感謝すると共に、日本人らしい自然との共生も、真剣に考えなければいけませんね。