マナーうんちく話535≪五風十雨≫
梅雨がまだ明けていませんが、7月も中旬になるとお中元が気になる人も多いと思います。
毎年のことだから・・・。
ところで、夏のご挨拶であると言われる「お中元」って何だと思いますか?
中元の本来の意味は7月15日のことで、中国の「三元」といわれる年中行事の一つです。
ちなみに三元とは、1月15日の「上元」、7月15日の「中元」、10月15日の「下元」のことです。
このうち、7月15日の、神様に今までのご無沙汰をお詫びして、お供えをする「中元のしきたり」が日本に伝わりました。
そして日本では、7月15日は盂蘭盆会(うらぼんえ)、つまりお盆で、ご先祖様を供養する日でしたが、その習慣と合体して現在のようになったわけですね。
昔は「お中元」と「お盆」が同時期に行われていたようです。
今でもその名残は多々ありますが、期間は地域によりことなります。
また、四季が明確に分かれている日本では、暑い時期と寒い時期に、お世話になっている人や、親しい人にご挨拶に伺う習慣がありました。
訪問して、互いの無事を確認しあい喜び、「思いやりの心」を発揮したわけです。
やがて江戸時代になると、物が豊かになり、交際範囲もずいぶん広がってきます。
こうなると、訪問する際に素手でいくわけにはいかなくなり、手土産を持参するようになります。
また、交流が広まると7月15日だけでは、訪問できなくなります。
従って、7月15日前後に数日かけて、手土産を持参して、世話になった人達を訪問する風習が生まれてくるわけですね。
さらに明治時代になると、交通手段や輸送手段が格段にアップしてきたので、品物だけを送って感謝の気持ちを表現するようになります。
これに、デパートや商店が目を向けない手はありません。
多彩な企画を次々に発信させ、今のように盛大に夏の品物を贈り届ける挨拶になりました。
売り上げも当然、前年アップを目指しますので、品数を増やし、お歳暮の期間を早めたりして様々な戦略を展開します。
このように、お歳暮の概念も徐々に変化してきました。
これを虚礼と捉える人もいますが、日本は物が豊かで、もともと贈り物をするのが大変好きな国民性を有している国です。
日頃付き合いが十分できていない人に対しても、季節・季節の挨拶として、手間暇と真心を添えて贈ることにより、絆が維持されれば意義があると考えます。
但し欲を言えば、直接出向いて、日頃のご無沙汰を詫び、感謝の挨拶と共に手土産を渡すことがお勧めです。
品物より、直接出向き、元気の良い笑顔を見せることです。
ちなみに、既に何度も触れましたが、お中元を持参して訪問する場合は、部屋に通されて、キチンとした挨拶を終えた後で渡します。
品物は多種多様ですが、昔は麦の粉で作ったそうめんはとても貴重品だったので、そうめんが今でも定番になっています。
「ソウメンのように細長くても、長いお付き合いをお願いいたします」と言う意味が込められています。
次回は御中元を頂いた時の対応に触れます。