マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
ゴールデンウイークの頃になるとひときわヨモギが自己主張始めます。
日本人なら誰もが知っているヨモギ。
色々な意味でなじみの深い薬草ですね。
小さい頃、擦り傷をした時に止血用に使用したり、肩が凝った時にお灸する時のモグサの原料にも成ります。旬の味覚として「草餅」も有名です。
そして、5月2日は「八十八夜」でした。
日本人には切っても切れない茶摘みの季節です。
漢字の「米」を分解すると「八」と「十」と「八」になること、及び末広がりの八が重なるからという理由で、日本では特に縁起が良いとされています。
だから八十八夜は、農事のスタートとしても大変良いとされています。
加えて、この日に摘んだお茶も大変縁起が良く長寿に効くとされ、高級な贈答品になります。
旬の物はエネルギーに満ち、豊かな栄養が宿るわけですが、特に一番茶は、ほのかな甘みと香りが格別で、大変美味です。
ちみに長寿の祝いにも88歳の「米寿」があります。
今でこそ平均寿命が延び米寿はあまり珍しくありませんが、昔は88まで生きることは大変です。
そこで米寿を迎えた人には尊敬の念を込めて、盛大に祝うようになりました。お祝いの品としては、金色の物、もしくは茶色の物がお勧めです。
そして「青葉」が目立つようになると、いよいよ「ほととぎす」と「初ガツオ」のお目見えです。
《目には青葉 山ほととぎす 初ガツオ》(山口素堂)
丁度今頃でしょうか、春から初夏に移行する時、江戸時代の人が最も好んだ青葉、ホトトギス、初カツオを順に詠んでいます。
当時は初モノを食べると7日寿命が延びると言われていました。
初モノには他の物には無い、何とも言えない精気が漂っていると考えられていたのですね。
しかも「カツオ」は味覚の代表的な存在であったと共に、「勝男」に通じることから、特に70日も寿命が延びるとされ、江戸っ子には大変重宝されたわけですね。
しかし安くは有りません。
当時の相場で一両もしたとか。
《まな板に 小判一枚 初鰹》と謳われています。
そうなると余計に欲しくなるのが江戸っ子です。
では、どうする?
《女房を質に入れても食いたい初ガツオ》となるわけですね。
ちなみに「初モノ」とは、その季節に初めて収穫した野菜や果物や穀物や魚介のことです。また、まだ誰も手をつけていない物という意味もあります。
従って購入する場合はかなり高値が付きます。
筍、桃、マスカット等の初モノもなかなか手が出ませんね。
これに比べ「旬」の物は、盛りの時期の物を意味します。
新鮮で、栄養価も高く、収穫も多いので比較的安価です。
要は、食べごろで、一番おいしいものです。
一月を上旬・中旬・下旬と10日ずつに区切っていますが、旬の期間で一番おいしい期間は10日だと言うことです。
初モノや旬の味覚に触れ、ゴールデンウイークを金色に輝くのもいいですね。