マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
クリスマスがすんだら正月準備が待っています。
門松、注連縄飾(しめなわ)り、鏡餅等のほかにも、お節料理を家庭で作る方にとっては、その材料や雑煮のもち等の準備もあります。
中でも「門松」は歳神様が里帰りされるときの依り代、つまり道標になるので、とても大切なものです。
だから、《マナーうんちく話844「正月事始め」》でもお話ししたように、わざわざ山に松の木を切りに行くわけです。
これを「松迎え」といいますが、既にこの時点から迎春準備はスタートするわけです。
「お持て成し」にはそれなりの準備が必要だと言うことです。
では、なぜ「松の木」なのでしょうか?
何度もお話ししましたが、松は一年中緑を絶やすことがないので不老長寿を表し、大変縁起が良いと言われています。
これは西洋でも同じことが言えそうで、クリスマスツリーは常緑樹である樅の木が使用されています。
また、松の枝は空から歳神様が降りて来られる時に、大きく手を広げてそれを待つ姿に良く似ています。
さらに、神様を「待つ」と「松」が同じ発音になるので、「松」は「神様を待つ木」になったという説があります。
だから、慶事や吉祥のシンボルになっている「松・竹・梅」のトップに位置しているのかもしれませんね。
能舞台の背景にも松が使用されており、松はまさに日本文化を象徴する樹木と言っていいと思います。
もとは平安貴族が正月間近になると、松を家に持ち帰っていたのが、室町時代に入り玄関に飾るようになったと言われていますから、門松には長い歴史があります。
ところで、門松は何時から飾ればいいのでしょうか?
基本的には、12月13日の「松迎え」からで良いのですが、今では12月24日のクリスマスムードの方が圧倒的に強いので、ミスマッチになりそうですね。
従って、社会の空気を読むとすれば、クリスマスイベントが終わった12月26日、27日、28日くらいがお勧めです。
29日は「二重苦」、31日は「一夜飾り」になるので避けた方が良いと思います。
縁起物ですから、このような言い伝えも大切にして下さい。
それが神様に対するマナーです。
門松を収めるのは1月7日ですが、地方によっては15日までとする所もあるようです。
納めた門松は「ドンド祭り」で焼くのがお勧めです。
縁起物は焼いて天に返すわけです。
但し都会では焼けないところもありますので、その場合は燃えるゴミに出すしかありませんね。
その際、キチンと手を合わせて感謝の気持ちを表して下さいね。
他のごみと分けるくらいの配慮も欲しいと思います。
次回は「注連縄(しめなわ)飾り」に触れます。