マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
その冬、始めて降る雪を「初雪」と言いますが、今年は例年よりかなり早かった気がします。そして只今冬将軍が到来しています。
ちなみに、その年の秋から冬にかけて最初に降りる霜は「初霜」、夏が過ぎて初めて山頂に雪がつもって白くなる事を「初冠雪」と言います。
ところで、「初雪の見参(げんざん)」と言う言葉をご存知でしょうか?
平安時代の初期、初雪が降った時には、群臣、つまり多くの家来たちは御所に出向き天皇に謁見する習わしがあり、その後それが儀式化して、このような勇ましい言葉が生まれたようです。
今の日本は物がすっかり豊かになっていますから、初雪が降ればコートやマフラーで直ちに対応することができますが、当時の冬は貴族でさえ厳しい生活を余儀なくされていたのではないでしょうか。
初霜、初冠雪、初雪等は季節の言葉としては大変響きがよい言葉ですが、衣食住全てにおいて乏しかった当時は、本格的な冬を迎えるには相当な覚悟や準備が必要だったと思います。
12月7日は二十四節季の一つ「大雪(たいせつ)」です。
いよいよこれから本格的な雪が降り始める頃です。
豊かな季節と言葉と感性を持つ日本には雪の異称が沢山あります。
「瑞花(ずいか)」は雪の美称で、豊作の兆しを示す花を意味しています。
雪国では冬になるとたくさんの雪が積もりますが、春になるとそれが溶けて雪解け水になり、秋に実りをもたらしてくれるわけで、店名に良く使用されていますね。
他にも雪を白い花と見る「銀花」、さらに「寒花」「風花」等の異名があります。
雪の美しさは昔から花にたとえられたのでしょうね。
さらに、香りのしない花と言う意味の「不香の花」ともいわれます。
しかし程度があります。
只今寒波襲来で、所により大雪警報が発令されていますが、豪雪になれば「白い花」等とロマンチックな事も言っておれません。
こうなると雅やかで美しい「白い花」の表現も一変して、「白魔」に変わります。
恐ろしい被害をもたらす大雪を魔モノに称えた表現です。
あちらこちらで、大雪の影響で列車や車が立ち往生する事故が既に発生しましたが、雪かきも大変です。
日常生活に支障が出る雪はなるべく御免こうむりたいものです。
かの有名なナポレオンも、戦場で大雪に降られ退却を余儀なくされて、連戦連勝を阻まれたので、大雪に敬意を表して「冬将軍」の名前を付けた話は有名ですね。
日本は古来より貧しいながら自然と仲良く暮らしてきましたが、今はどうでしょう。物の豊かさや利便性に重きが置かれ、自然に対し多大な迷惑をかけている感があります。
出来ればいつまでも自然と良き友でありたいものですね。
選挙戦たけなわですが、「クールビズ」とか「ウオームビズ」とか「環境に優しい」とか自分勝手の言葉ばかりではなく、自然をより理解し、より仲良くなる手段を講じて欲しいものです。
人間の都合で「白い花」を「白魔」にしてはいけません。
そのためには自然に対しても素敵なマナーを発揮するべきです。