マナーうんちく話73≪話好きになる方法とは?≫
お茶は中国から修行僧が持ち帰り、最初は高貴な人の薬として飲まれましたが、その後日本人は「茶の湯の文化」を開花させ、独自の「お持て成しの文化」を築いたのはご承知の通りです。
武士でも、狭い茶室に入る時には刀は邪魔になるのではずします。
また、西洋では毒殺が多かったようですが、日本の茶室でお茶を頂く時には、皆同じ茶碗です。
茶室では喧嘩もできないし、毒殺もできないということですね。
そればかりか、狭い空間で同席した者同士の絆作りを可能にする、素晴らしい効果が期待できます。
自然にお茶を点てる人と頂く人が一体化するわけですから、茶室を最初に作った人は素晴らしいコミュニケーション能力の持ち主だったと思います。
また、神前結婚式では新郎新婦は「三三九度の儀式」を執り行いますが、これも同じ杯です。
加えて、日本人は裸で同じ湯船につかります。
これも長きに渡り、日本人が培ってきた「触れあいコミュニケーション」ではないでしょうか。
今、アメリカ等からコミュニケーションに関する学問が沢山入って来ていますが、日本には何百年も前から、日本人らしいコミュニケーションの取り方や、お持て成しの仕方が存在していたわけです。
また、日本では、喫茶店やレストランに入ると笑顔で「いらっしゃいませ」と言って、係の人が冷たい水やお絞りを持ってきてくれます。
さらに食堂ではお茶まで出してくれます。
これらは伝票には記載されません。
つまり、日本では美味しい水も、お茶も、お絞りまでが全て無料なわけです。
他の国では例がないと思います。
日本人がお茶を通じ、いかにお持て成しの精神を発揮してきたかと言うことではないでしょうか?
お茶の文化は世界各国に存在し、いずれもその国を象徴しています。
中には水がよどんでいるのであえてお茶にしないと飲めない国もありま。
しかし、日本はありがたいことに自然が美しく、水も綺麗で美味しい国です。
だから単に喉を潤すと言う生理的な面より、心を潤す精神的な側面に重きをおいて茶道が発展したのかもしれませんね。
茶道は茶を入れ、単に飲むことを楽しむだけでなく、様々な文化を加味させ、生きて行く上での目的や生き方まで追求した素晴らしい文化ですが、その心得を説いたのが、今NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で頻繁に登場している千利休です。
彼は、茶を介した人間関係作りにポイントを置き、お茶の出し方や頂き方にも神経を注いできたわけで、その教えは、今でも脈々と受け継がれています。
次回に続きます。