マナーうんちく話787《お迎え・お見送りの「胡瓜の馬」と「茄子の牛」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

お盆は仏様の里帰りの日です。
つまり、ご先祖様の霊をお迎えして、供養する仏教の行事です。

お釈迦様の弟子が「亡くなったお母さんが餓鬼道に落ちて苦しんでいるので、お釈迦様の教えに従って供養してこれを救った」と言う故事が、日本に伝来して、ご先祖様を弔う行事と一緒になったとされています。

ちなみに餓鬼道(がきどう)とは、飲食に不自由して飢えに苦しむ世界のことです。

一般的には、精霊棚(盆棚)を用意して、ご馳走や水や花をお供えします。
前述したようにお盆とは、我軌道に落ちた人を救うための行事ですから、期間中はソーメンや餅等のご馳走を耐えさないようにしなければいけません。

そして、ご先祖様の霊がお帰りになる時の乗り物が、キュウリや茄子に割箸や妻楊枝で足を付けた乗り物です。

キュウリは早く走る馬で、茄子はゆっくり歩く牛で、共にこの世とあの世を行き来する乗り物です。

お盆になったら、ご先祖様の霊に少しでも早くお目にかかりたいから、この世に里帰りされる時はキュウリの馬に乗って下さいという願いを込めています。

また、お帰りの際は、おなごり惜しいので牛に乗って少しでもゆっくりと、さらにお土産をたくさん積んでお帰りいただくわけですね。

また、お盆の花と言えば「ほおづき」ですが、これは迎え火や送り火の盆提灯に見立てています。

ところで、ご先祖様の霊がお帰りになるのは13日の夕方とされています。
従ってそれまでにはお墓参りをして、夕方になったらご先祖様の「道しるべ」として、家の玄関や庭先で迎え火を焚きます。

ちなみに、正月は神様の里帰りですから、神様をお迎えする「道しるべ」として玄関に門松を立てます。

そして、お帰りになられたご先祖様の霊をお持て成しするための行事が「盆踊り」です。

全国津々浦々ユニークな踊りがあり大変賑わっていますが、最近ではかなり様子も異なってきましたね。

昔の盆踊りの歌はなんとなく物悲しいタイプが多いかったように感じますが、ご先祖様のお持て成しという点では頷けると思います。

さて、15日の夕方か16日の朝には迎え火を焚いた場所で、今度は「送り火」を焚いて、霊の帰り路を明るく照らして、ご先祖様が無事にあの世に帰れるようにお祈りします。
これに関しては、それぞれの地域により様々な行事があります。

地域によって呼び名が異なりますが「灯籠流し」とも「精霊流し」とも言われる、灯籠にろうそくの火を載せて川や海に流す風習も有ります。
この灯籠に乗って霊があの世にお返えりになるわけです。

お盆の行事は地域により様々ですが、いずれにしても、今あるのはご先祖様のお陰です。

お盆の休暇を利用して海外旅行に行く人も多いようですが、正月と共に家族が揃ってご先祖様の霊をお迎えし、お持て成しの原点に返るのもお勧めです。
自分の今を見直す絶好の機会でもあります。

孤独死、無縁仏、無縁社会等の言葉が生まれて久しいですが、お盆、お正月、お彼岸くらいは家族が集い、行動を共にし、絆を深めていきたいものですね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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