マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
桜前線が通り過ぎると、桜団子や桜餅から、老若男女に不動の人気を誇る「ヨモギ団子」「ヨモギ餅」が出回る季節です。
ヨモギは日本ではどこでも生息しておりますが、お餅を始め、お茶やお灸の材料にもなるので、今でも大変重宝されています。
そして、古くから食べる、飲む、漬ける、匂いを嗅ぐ、も草にする等の万能薬であり、日本を代表するハーブと言えるのではないでしょうか?
特に今頃に摘んだヨモギの新芽は、邪気を払うとされています。
旬の草木はエネルギーに満ち溢れており、春の七草や桃や菖蒲には邪気を払う効果があると言われますが、旬のヨモギも同じ理屈です。
ところで西洋ではこの頃に「イースター」、つまりキリスト教ではとても大切な「復活祭」の日があります。
では、「十三参り」をご存知でしょうか?旧暦の3月13日、現在では4月13日ですが、数え年で13歳になった男女がお祓いを受け、さらに知恵や健康を授かるために、親子で日頃からお世話になっている神社仏閣へお参りする日です。
「マナーうんちく話173《満年齢と数え年》」を参考にして頂ければ、よりご理解いただけると思いますが、数えの13歳は干支(えと)が一回りして、再びスタートする歳で、昔から最初の厄年の年齢とされていたようですね。
子どもから大人の身体へ変わる頃でもあり、体調の変化も大きいから、特に注意を促したわけです。大体、小学校を卒業し、中学に入学する前にお参りしますが、地域性もあり、「七五三」程、一般的ではないようです。
昔の13歳は「元服」、つまり一人前の大人として世間から公認される日と重なり、大切な通過儀礼の一つでありました。
「13参りの日」には、肩上げをした大人サイズの晴れ着を子に着せます。
そしてこれ以後、何かあれば、この着物を着せて行動させます。
子が着物に慣れると共に、着物姿での立ち居振る舞いを身に付けるためです。
「躾」とは「身」を「美」しくと書きます。漢字は中国から伝わりましたが、「躾」は日本で作られた漢字で、「身」と「美」しいを融合させたものです。
実はこの「躾」は、着物の躾と同じなのです。
洋服や着物を作る際、仕立てが正しく行われるように「躾糸」で仮縫いしておくわけですね。
これがないと着物や洋服は狂いが生じ、うまくいきません。
従って、人間も悪い方向に進むことなく、清く正しく生きるように教えることが躾です。
現在の子は物が豊かな中で育てられます。
さらに進学率も高く、高学歴の人が多くなりました。
とてもいい事だと思います。
しかし、基礎知識は身につていますが、反面社会人として大切な、思いやり・感謝・尊敬の心、我慢すること等が希薄に思えます。
また、就職や結婚を控え、あわてて自分磨きに励む人が多いようですが、出来れば就職や結婚する前に身につけて頂きたいものです。
躾は本来、小さい頃に家庭でほどこされるべきで、外注に依存する物ではないと痛感します。
深い愛情の元、厳しすぎず、甘やかせ過ぎず、しかも子の個性も尊重しつつが理想でしょうが、親にとっては大変です。
しかし、「親は子の背中を見て育ちます」。
子どもの躾の前に、先ずは自らを正す必要があります。
自分も輝き、躾に役立つのが「生活習慣のマナー」「社会生活のマナー」「人間関係のマナー」「食卓のマナー」等です。
ぜひ、子育て、孫育て、さらに教育や食育に関わっている大人に率先して身に付けて頂き、家庭や地域や学校で発揮して頂きたいものです。