マナーうんちく話296≪家族団欒の作り方≫
春の浮き浮きした心地良さを「春興」と言います。
野山の緑が次第に濃くなり、百花繚乱の中、緑のそよ風が吹き、鳥がさえずり、本当に、「何かいい事がありそうな」気持になりそうですね。
さて、4月は出会いの季節だと言われますが、新学期の始まりです。
子どもが晴れて、入園、入学、あるいは入社のお家も多いと思います。
まさに「晴れの門出」ですね。
日常的な普通の生活や状況は「ケ」と言いますが、入園・入学・入社、正月、結婚式等、特別にお目出度い日は「ハレの日」と表現します。
「晴れの門出」を始め、「晴れ舞台」、「晴れ着」等はここからきた言葉です。
そして家庭では、赤飯や餅や尾頭、さらに酒等で祝います。
嬉しい半面、あえて顔に出したり、口に出したりはしなくても、晴れの門出を迎えた子どもたちは、多かれ少なからず、不安や期待が入り混じった状態で、懸命に過ごす人もいます。
そんな彼らが、前を向いてしっかり生きて行くためには、家庭や地域の支えがとても大切です。
家庭では兎に角、親が子に愛情を注ぐことが大切です。
短所を指摘するより、長所を延ばすこともお勧めです。
また、子供をよく観察することも大切です。
加えて、「子は親の背中を見て育つ」と言われます。
親が子の前で素敵なマナーを発揮して、より良い生き方の見本を示すことも必要です。
特に夫婦の仲が良い事は良いですね。
さらに、地域でのサポートも欠かせません。
昔は、「親が無くても子は育つ」と言われました。
近所の大人が、我が子に接するように色々と面倒みたからです。
家庭や地域や職場における人と人との絆が欠如し、「無縁社会」と言う言葉が登場して久しいですが、これでは、いくら豊かになっても、便利になっても、子はすくすくと育ちません。
家庭にとっても、地域にとっても子は宝です。
将来、超高齢化社会を支えてもらうわけですから、出来る限り暖かく子に接したいものです。
門出を迎えた子どもが、心配や不安に負けないように、家庭や地域の大人が、おおらかな心で子に接し、しっかり支えて行くシステムや存在を再構築しなければと思います。
加えて、子どもを、かわいさあまりに溺愛せず、ある程度の苦労や我慢の大切さも教えて頂きたいものです。
失敗も沢山経験させたいですね。
マナーうんちく話525《4月の雨が5月の花を作る》でも触れましたが、将来美しい花を咲かせ、実を付けるためには、雨に打たれ、風にさらされる必要があります。
温室で育った子どもは、世間の厳しさに耐えられません。
これは学生時代には解りません。
社会人になって始めて気がつくわけですが、この時点では遅すぎます。
思いやりの在る子も、幼い時の家庭の躾の中で育まれます。
社会人になってからでは遅すぎる感があります。
甘いも、苦いも、渋いも、しっかり経験させてあげたいですね。