マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
引っ越しはそんなに何度もありません。
しかし、いざ引っ越しをするとすれば大仕事になります。
加えて、引っ越しはタンスや冷蔵庫など大きな荷物を扱うので重労働です。
それに対する感謝の気持ちが「引越しの心付け」です。
また、アパートや社宅暮らしの人が新居を立てて引っ越す場合は、重労働に対する感謝の意味と、新居への引越しのご祝儀の意味も生まれます。
新居への引っ越しはお目出度いからです。
しかし、心付けを渡して、引っ越し業者の人に断られるケースも考えられます。
そのような場合は、お茶やコーヒーなど飲み物でも差しいれされたらいいでしょう。
心付けを渡すタイミングですが、仕事が終わってからよりは、仕事に取り掛かる前がお勧めです。
「今日はどうぞよろしくお願いいたします!」と言って渡されたら良いでしょう。
金額は一人当たり1000円から3000円位が妥当だと思います。
飲み物やお菓子の場合は、作業の途中での差し入れが良いかもしれません。
また、引っ越しは学生も該当しますが、学生の場合はお金の心付けより「よろしくお願いします」と明るく元気な挨拶がお勧めです。
結婚式でも引っ越しでも、心付けを渡そうか、渡すまいか?迷われる人が多いと思います。
結婚式にしても、引っ越しにしても、これを機会に新生活がスタートするので、昔からお目出度いとされていました。
従って、迷われたら、渡される事をお勧めします。
ポチ袋に1000円か2000円程度の綺麗な紙幣を3つ折りに折って入れた物を人数分、纏めて責任者に渡せばいいでしょう。
また、心付けでお金を渡したのだから、もういいだろうではありません。
季節にもよりますが、真夏の暑い時期には重労働はこたえます。
そんな時、冷たい水やコーヒー等の差し入れは大変喜ばれると思います。
ちなみに、引っ越しが終わって新居にくつろいだら、向こう3軒両隣への挨拶がありますが、昔は蕎麦を配っていました。
いわゆる「引っ越し蕎麦」で、江戸時代中期に始まったと言われています。
この由来をご存知でしょうか?
大晦日に蕎麦を食べるのは、「金運に恵まれること」、「蕎麦のように細く長く達者で暮らせること」、「すぐ切れる蕎麦にあやかり災難を切る」の願いが込められています。
一方、引っ越し蕎麦は「貴方のおソバに参りました。これから、細く長くお付き合いのほどよろしくお願いいたします」と言う意味があります。
それまでは、餅などを配っていたようですが、餅は高くつき、チョッとした挨拶にはふさわしくないということで、安価である蕎麦に取って代わったようです。
しかも、江戸っ子の洒落により、蕎麦を配る理由が洒落ていたので、昭和の時代まで続いたようです。
いずれにせよ、人付き合いや近所づきあいを、「手頃な値段で円滑にしたい」と思う気持ちは古今東西変わりませんね。