マナーうんちく話707《和菓子と「桜餅」の食べ方のマナー》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

世の中に たえて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし(古今和歌集 在原 業平)

古来、日本人は桜をこよなく愛で、数々の歌を詠んできました。
「此の世に、桜が無かったら、そわそわすることなく、のどかな気持ちで春を過ごすことが出来るのに」と言う意味でしょうか。

「桜前線」と言われる大変美しい言葉を持つ日本ですが、桜の開花を待ち焦がれる気持ちは今も昔も変わりませんね。

桜の開花宣言が聞こえるようになり、浮き浮き、そわそわする頃になると、桜に関連した食べ物が出回ります。

「桜エビ」も旬を迎えています。
かき揚げが定番ですが、いつ食べても美味です。
そして、お菓子の世界にも桜にちなんだお菓子が多く登場します。

和菓子は基本的には、一口ずつ、切ったり割ったりして食べればいいでしょう。
小さなフォークが添えてあればフォークを使用して、左から一口大に切りわけます。また、黒文字の木から作られる「黒文字」と呼ばれる妻楊枝がついていれば黒文字を使用しますが、この際とがった部分を相手に向けないように注意して下さい。

ちなみに、黒文字はクスノキ科の落葉低木で枝に黒い斑点があります。
それを黒文字に見立てたので黒文字と言う名前がつきましたが、匂いが良いので妻楊枝として使用されるようになりました。

普通、和菓子は小皿か懐紙に乗せた状態で供されますから、切ったお菓子がこぼれないように、小皿や懐紙は持って食べても構いません。

この時、口を皿や懐紙に近かづけるのではなく、お菓子を持った手を口に近づけて下さいね、食べる時の姿勢も大切ですよ。

ところで、この時期を代表する和菓子と言えば「桜団子」と「桜餅」ではないでしょうか?

いずれも江戸時代からの歴史を有する日本人には大変なじみの深い食べ物ですが、桜餅は塩漬けされた桜の葉で餡子の入った餅を包んだお菓子です。
ほのかに桜の香りがする美味しいお菓子ですが、食べ方に迷われませんか?

桜の葉をむいて食べる方法と、桜の葉のまま食べる方がいます。
皆さんはどちらでしょうか?
また、どちらが正しい食べ方だと思いますか?

先ずは、何故桜の葉で巻いているのか?その理由を考えて下さい。

1、餅をホコリから守る。
2、餅の乾燥を防ぐ。
3、桜の香りを餅に移す。

以上3つが考えられます。
従って葉をむいて食べればいいのではと思います。

しかし、あんの甘味と葉の塩気が何とも言えないハーモニーを醸し出すので、葉のまま食べるのもお勧めです。
つまり桜餅の正しい食べ方は、お好きなように召し上がって頂ければいいと思います。

ただ、桜餅は黒文字や小さめのフォークでは正直食べ難いです。
手で持ってそのまま食べて下さいね。

従って桜餅は食べる側より、もてなす側に気配りがいるお菓子です。
食べた後の汚れた手を拭くための「お絞り」を共に出して下さい。

七十二候では只今「桜始めて開く」頃で、3月27日は「桜の日」です。
桜を通じて、日本の風土や文化に関心を持つことを目的に制定されました。

《マナーうんちく話222「何故桜で花見をするの?」》《マナーうんちく話513「日本人はなぜ花見をするの?」》のコラムを参考に、花見のうんちくでも語りながら、桜団子や桜餅をお楽しみください。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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