マナーうんちく話680《冠婚葬祭7、結婚の目的とマナー》
「葬儀」とは、「葬送儀礼」のことで、亡くなった人をあの世に送る大切な儀式だと心得て下さい。
臨終を終えて、葬儀、服喪、そして墓参りなど、一連の通過儀礼を指しますが、加えて、故人を取り巻く遺族や大切な人のために行われるものでもあります。
そして、葬儀は通夜から始まり、葬儀、告別式、出棺、火葬へと続きます。
また、「服喪(ふくも)」とは、家族や親族等が無くなった時に、一定の期間喪に服することです。なお、詳しくは改めて触れて参る予定です。
さて、どこの国でも同じだと思いますが、昔は特権階級の人のみ葬儀を行っていたようですが、日本では江戸時代の檀家制度、そして明治以降の日清・日露戦争による犠牲者を弔う必要性から、葬儀が改めて見直され、次第に一般庶民にも浸透していきます。
さらに、大正時代になって霊柩車が出現し、葬儀のスタイルに変化がみられるようになります。
ところで、「霊柩車を見たら親指を隠せ」と言う言葉を聞いた事がありませんか?
何故親指を隠すのかと言えば、「親指」から「親」を連想し、親の死に目に会えないから、親が早死にするからだと言われています。
また、自分自身に悪影響を及ばせないため、と言う説も有ります。
親指には魔よけの力があったのでしょうかね。
ちなみに、「夜爪を切るな」とも言われますが、良く似た意味ですね。
そして、近年になり、核家族化が進展し、家族や親族や地域の絆が希薄化し、加えて世界に例を見ない超高齢化により、葬儀は益々多様化していく傾向にあります。
ちなみに、今のように葬儀会社が葬儀全般を取り仕切るようになったのは、約30年前頃からです。
マンションやアパートの増加に伴い住宅事情が変化し、自宅で葬儀を行うには余りにも煩雑さが伴うし、家族のプライバシーも確保したい等の理由もあり、今や、葬儀は葬儀会社が行うものと決まったようなもので、葬儀の市場規模も売り上げも、年々増加傾向にあるようです。
故人との別れを惜しみ、哀悼の心を伝える厳粛な儀式も、このように様変わりしていくわけですね
さて、これまで葬儀の風潮や実情について述べましたが、葬式における特徴は予告なしに起こり、「喪主の立場」と「会葬者の立場」に分かれます。
喪主の立場では、葬儀は葬儀社が殆ど取り仕切るので、それ以上の事はさて置き、これ以後は主として、会葬者の立場でのマナーに触れて参ります。
予告なしに飛び込んでくる訃報は、参列する側にも、多くの戸惑いや解らないことが多々あります。
しかし、自分としては深い哀悼の気持ちがあるにもかかわらず、自分では気がつかないうちに、無作法な態度でヒンシュクを買うことにもなりかねません。
だから、それを回避するためにもマナーが大切なわけです。
特に葬儀は、冠婚葬祭の中でも、宗教や死生観や霊の捉え方、それに地域性やしきたりも関連してきます。
また、葬儀の形式も多種多様です。
「そんなの迷信だ!」と言って一笑する事無く、昔から多くの人が認めあって来た、故人に対する哀悼の気持ちの表現の仕方を再確認するとともに、葬儀の目的や本質を正しく理解する事が何より大切だと考えます。
次回からは、順を追ってさらに詳細に触れて参ります。
是非お付き合いいただき、少子多死社会に供えて下さい。
備え有れば憂いなしです。