マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
最近では耳にしたり口にしたりすることはなくなりましたが、1月15日は小正月で「小豆粥(あずきがゆ)」を食べる日です。1月1日の「大正月」に家事で多忙を極めた主婦が一息つく時ですから「女正月」とも呼ばれます。
ところで「三寒四温」と言う言葉をご存知でしょうか。丁度この頃は、三日非常に寒い日が続けば、次から四日間は温かい日が続くと言う意味です。
但し、この言葉は中国から入った言葉で、中国の北東部や朝鮮半島の気候と日本の気候が一致することはありませんが、今では、寒い日と温かい日が繰り返す事を、このように表現することが多々あります。
つまり、「大寒とはいえ、毎日厳しい寒さばかりではありませんよ、これからは寒い日や温かい日が繰り返されながら、日も次第に長くなり、だんだん春になっていきますよ!」と言う意味です。
人生に例えれば、「人生楽ありゃ苦もあるさ」と言うことでしょうか。
昭和44年から実に42年間にもわたって多くの日本人に親しまれ、まさに国民的ドラマであった「水戸黄門」の主題歌、「ああ人生に涙あり」に登場する、お馴染みのフレーズです。
『人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る
歩いてゆくんだしっかりと 自分の道を踏みしめて』
苦しい時には、「長い人生にはこのような時もあるさ、しかし、その内、楽しい時がやってくるだろう。だから我慢して楽しい時が来るのを待とう。そして、楽しい時が来れば、それを精一杯楽しめばいいさ」という生き方が良いようですね。
しかし、苦しみが長引けば長引くほど、自信喪失になったり自棄になったり、挙句の果てには、生きる望みが断たれる時だってあります。
しかし、それでも、あえてその苦しみに立ち向かっていくことが大切です。
現実は意外に厳しいものではないでしょうか。世の中も決して甘くありません。
このことは誰だって、同じ事が言えると思います。
苦しさと楽しさの割合は人によって千差万別でしょうが、楽ばかりの人もいないはずです。
また、苦しさも何度も経験すればするほど、苦しさの中にも楽な事を見つける力が付いてくると思います。
苦しさに慣れていなければ、苦しさに放浪され、その中にある楽を見つけることはできません。
「幼い子には旅をさせよ」とはよく言ったもので、小さい時にそれなりの試練を経験した子どもは、大きくなって成果を出します。
苦しい時こそ、「やがて来るであろう、楽の存在」を信じて、耐えることが大切だと考えます。
しかし、楽の時には、楽に溺れてしまわないで、常に苦の存在がある事を思い起こす事が、大切ではないでしょうか?
要はどんな時にも、人には苦と楽の存在がある事を認識することが大切です。
寒い冬の季語に、「春隣」と言う大変美しい言葉が日本には有ります。
厳しい寒さの中にも、春の兆しがかすかに感じられると言うことです。
大寒は寒さがピークになる時ですが、ここまで寒くなれば後は節分です。
そして、次の日は「立春」と言うことで、春がいよいよスタートします。
孔子は「遇と不遇は時となり」と言っています。
遇はなにをやっても順調に行くことで、不遇はその逆です。
人生には遇と不遇は付きものである。
問題は不遇の時の過ごし方で、「不遇の時こそ力を蓄えてやがてやってくる春を待て」と言う戒めですね。
マナーもしかりです。
遇の時にはマナーの差は出ませんが、不遇の時には「人となり」が出ます。
素敵なマナーは苦労して身に付くものだと思います。