まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
1月7日は「人の日」ですが、何のことかお分かりでしょうか?
五節句の一つ「人日(じんじつ)」の節句です。
既にお話ししましたが、暦の季節の変わり目が「節」で、中国から日本に入ってきたわけですが、それが日本の行事やしきたりと結びついて「節句」になりました。
ちなみに「五節句」とは、このコラムでも詳しく触れていますが、1月7日の「人日の節句」、3月3日の「上巳(じょうし)の節句」、5月5日の「端午の節句」、7月7日の「七夕」、9月9日の「重陽の節句」を言います。
なぜこのような節句を設けたかと言えば、季節の節目は何かと体力が衰えるので、その季節の旬の植物のエキスを吸収して、邪気を払うと共に体力のパワーアップを図ったわけです。
上巳の節句は「桃の節句」と言われ桃をお供えしますが、桃には邪気を払う効果があると言われております。また、端午の節句は「菖蒲の節句」と言われますが、菖蒲もしかりです。
そして、1月7日は「人の節句」であり、人を大切にする日で、中国では刑罰を行わない日だったそうです。加えて、この日は、邪気を払い、この一年の無病息災を祈って「七草粥(ななくさがゆ)」を食べますね。
七草には「セリ」「ナズナ」「ゴギョウ」「ハコベラ」「ホトケノザ」「スズナ(カブ)」「スズシロ(ダイコン)」の「春の七草」と「秋の七草」があります。
春の七草は食用ですが、秋の七草は観賞用、つまり見て楽しみ、俳句や短歌を詠んで風流を味わう物で有ったようです。
春の七草は田舎の畑で簡単に手に入る物ですが、もともと節句は旧暦の行事です。その行事を新暦で行えば手に入らないものも多々あります。
例えば、3月3日の桃の節句でも、旧暦だと桃が咲く時期ですが、新暦の3月3日はまだ固いつぼみの状態ですね。
従って、この時期春の七草も入手困難なものもありますので、手に入らなかったら芹(せり)や蕪や大根の葉だけでも十分です。
厳しい寒さの中にも次第に日も長くなり、野草が芽吹き始める頃でもあります。
その新たな芽吹きを感じるだけでも、それなりの効果が期待できると思います。
加えて、七草粥には、正月のご馳走を食べ過ぎて、弱った身体を休ませると言う意味もあります。
さらに、厳しい寒さの中、何かと野菜不足になるので、萌え出た若草を食す事で、不足しがちなビタミン類等の栄養素を補給するという側面もあります。
この習慣は、平安貴族の間で始まり、それが形を変えて江戸時代には武士や一般庶民まで広がったと言われております。
特に江戸時代には、この日は将軍も、武士も、一般庶民も七草粥を食したとか・・・。
ということで、1月7日は、できる範囲で七草我湯に挑戦されてはいかがでしょうか?そして、七草粥を用意する時に、七草を付けた水に暫くの間、指を浸して下さいね。
何のためでしょう?
実は「七草爪」といって、七草に浸して柔らかくなった爪を切ると、その年は風邪をひかないと言う言い伝えがあるからです。
つまり、1月7日は、新年に初めて爪を切る「爪切りの日」でもあります。
七草粥と合わせて試して下さい。
また1月7日は、「人を大切にする日」であると言うことを再認識して頂き、自分自身を大切にすると共に、周囲の人、特に大切な人をこれから先も大切にしてあげて下さいね。
今日は単に七草粥を食べるだけではなく、本当は深い意味を有する日なので有ります。