マナーうんちく話637≪無礼講と本音と本性≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:人間関係を良好にするマナー

忘年会に限らず、職場の飲み会はコミュニケーションや親睦を深める効果が有りますので、億劫がらずに前向きに参加される事をお勧めします。

特に忘年会は、職場では見えない人柄が垣間見られる場でもありますので、気になる人がいたらしっかり観察して下さい。
但し、観察される場でもある事をお忘れなく。

そして、明るく振舞う事をお勧めします。
また、仕事の話ばかりでは能が無いので、飲み会の目的に沿った話題を心掛けて下さい。加えて、多様な人が会する場でもあるので、グルメや健康等全ての世代にマッチする話題に精通しておけばいいですね。

会のスタートに当たり、乾杯の時には、たとえアルコールが飲めなくても、一応口だけ付けて、乾杯には参加して下さい。飲むふりだけで結構ですが、酒が飲めない人は、飲める人に調子を合わせ、明るく振舞うことが大切です。

酒の席で、大人が楽しむ大切なポイントは、「堅苦しい話はしない」「愚痴らない」「説教しない」「喧嘩をしない」「人の悪口を言わない」です。

ところで、幹事や上司から「無礼講」と言われたらどのように振舞いますか?これはあくまで社交辞令と受け取って頂き、それなりの節度を守って下さい。
つまり、社交辞令と言うのは一種の慣用句のようなもので、本心ではないと心掛けて下さい。

《マナーうんちく話》で度々触れましたが、日本は正月のお節料理や花見のように、「神人共食」の文化を有する国です。両方が細い「祝い箸」はその典型的な例です。

神事において、願い事を叶えて頂く目的でお酒をお供えし、神事終了後にその神酒を神事に参加した人が授かる直会のことを「礼講」といいます。
そして、その後に行われる宴会、つまり二次会を無礼講にするというのが元々の意味であると言われております。

従って、無礼講とは、堅苦しい礼儀作法抜きで、地位や身分に不必要にこだわる事無く、わけあいあいと皆が楽しむ会で、参加者が欲求不満を解消し、結果絆が深まることだと認識頂ければいいと思います。

しかし、多くの場合、この無礼講の意味が必ずしも共通認識されていないケースが多々あります。

主催者は気軽に楽しんでほしいとの思いで無礼講でと言ったつもりが、参加者は「ある程度の無礼はOK」と解釈すれば、折角の意図が台無しになります。

従って無礼講と言う言葉を発する場合は、念のために具体的に、どのような雰囲気の飲み会か、解りやすく説明される事をお勧めします。

さらに、「無礼講で酒を飲めば本音でモノが言えるから、腹を割って話し合おう!」と言われますが、これはおかしいと思います。

本音で腹を割って話すのは、身も心も落ち着いている時で、相手の目をキチンと見ながら話すのが本来の姿です。

つまり、酒の勢いで出るのは、本音ではなく「本性」です。

ちなみに、本音とは自身に対する嘘いつわりが無く、本心から言う言葉で、これに対し対外的要素が加えられて形づけられるものが建前です。

さらに、本性とは、生まれながらに持っている性質の事で、その人の実態です。

本当に実力の有る人とは、酒の力を借りずに、しらふの時に堂々と振舞える人ではないでしょうか?

気持ちは理解できますが、大切な事はしらふの時に、キチンと相手の目を見て伝えたいですね。
だいいち、飲んだ勢いでお世辞を言われたり、口説かれても嬉しくないですよね。

いくら酒の上だと言え、無礼に振舞うのではなく、酒の席だからこそ、節度ある態度で、明るく楽しく過ごしたいものです。
そして素敵なマナーを発揮して下さい。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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