まなーうんちく話634≪年賀状の意義とマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

今年も年賀状を用意する時節になりましたね。
日本人は暑い時や寒い時に相手を気遣う習慣がありましたが、年賀状は直接に出向いて年始の挨拶が出来ない人に送る挨拶状でした。しかし最近では職場の人にも年賀状を出す場合が多いようですね。

このように、良好な人間関係を維持するための年賀状ですが、意外に、紋切り型になったり、間違いが多いのが気になります。
そこで、年賀状のポイントに触れてみたいと思います

年賀状の冒頭に使用する祝いの語句を「賀詞」と呼び、これがポイントになりますので、大きめな文字で、賀詞に込められた意味を正しく理解し、差し出す相手により使い分けて下さい。

賀詞には、漢字で一文字、二文字、三文字、四文字、さらに文章があります。
例えば、一文字の「寿」「賀」は単に「お目出度い」という意味、二文字の「賀正」は「正月を祝う」、「迎春」は「春(新年)を迎える」と言う意味、三文字の「四海春」は「世界に春が来た」という意味だけで、いずれも敬意が無いので、後輩や友人には良いですが、目上の人には不向きです。

目上の人には、相手を尊ぶ漢字の「謹」、うやうやしいと言う意味の「恭」等が使用されている「謹賀新年」「恭賀新年」がお勧めです。

また「明けましておめでとうございます」「新春をお慶び申しあげます」等は相手を選ぶ必要がありません。加えて「新年」と「明けまして」、「元旦」と「1月1日」等は同じ意味ですから重複しないようにして下さい。

また、最近は特にパソコン使用等が目立ちますが、出来れば二行から三行位でも、その人に相応しい手書きの文章が欲しいですね。

日頃からお世話になっている感謝の言葉、相手の健康・健闘・幸福を祈る言葉、今後とも変わらぬ付き合いを願う言葉等自由に綴られたら良いでしょう。

年賀状が、「実礼」になるか「虚礼」になるかは差出人の心次第です。その意味においても、その人に相応しい手書きの言葉は、短文でも大きな意味を持ちます。

そして折角ですから正月に届くように12月25日までには投函して下さい。ちなみに、年賀状は松の内までで、それを過ぎたら立春までは「寒中見舞い」、立春を過ぎたら「余寒見舞い」になります。

また、私製葉書の場合は切手の下に「年賀」の朱書きを、宛先住所は都道府県から書いて下さい。

加えて、プライベート用と公的なものは明確に区別される事をお勧めします。
プライベート用には子どもや家族の写真入りでもいいでしょうが、公的な物にはお勧めできません。

また年賀状を出していない人から頂いた場合は、「早々に賀状をいただき恐縮です」などとはかかず、さりげなく普通のスタイルで出された方がいいと私は思います。ただ、返信がかなり遅れた場合は遅れた理由とお詫びの言葉があった方が良いでしょう。

ネット全盛時代に不合理とも思える年賀状ですが、手間暇かけて、あれやこれやと悩みながら、相手の事を想いながら差しだす事に、年賀状の意義があると考えます。
最近はとても便利になりましたが、利便性より相手に対する思いやりですね。

つまり良好な人間関係を持続するには、合理的には行かないと言うことです。
相手を常に思いやる気持ちは不可欠です。
そしてそれを、心を込めて言葉や文章などで表現することが大切です。

ビジネスマナーで、好感の持たれる名刺交換が話題になりますが、いくら名刺交換を美しくしても、その後のアフターフォローが無ければ意味がありません。

その点、年賀状は誰に対しても正々堂々と出す事が出来る挨拶状です。
手間暇をかけ、思いやりの気持ちを込めて出される事をお勧めします。

さらに、元旦に決められたように年賀状が届くには、郵便局のご苦労もさることながら、豊かで平和で、相手を想う心がある事が前提条件です。
「差しだす方」も「受け取る方」も感謝の心を大切にしたいものです。


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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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