マナーうんちく話633≪お歳暮の知識と贈り方・頂き方のマナー≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

世界中で日本人程、贈り物が好きな国民はいないのではないでしょうか?
誕生祝い・結婚祝い・入学卒業祝い・出産祝い・長寿の祝い・新築祝い・開店祝い・バレンタインデー・ホワイトデー・クリスマス等など年中贈り物をしたり、されたりします。

日本が豊かで平和であることと、贈り物を通じて相手を思いやる日本人独特の心があるからでしょうか?

そして数ある贈り物の中でも、西洋からは云ったものでなく、日本古来の長い歴史がある贈答文化が結納とお歳暮だと思います。

だから、お歳暮のやり取りには、結納と同様、厳格な礼儀作法が存在します。
熨斗を付けるのもそのためです。
今年は景気が良くなっているせいか、高価な品物に人気があるようですね。

お歳暮は本来ご先祖様が正月に実家に里帰りされるに当たり、その子孫が食べ物や飲み物を持ちより、ご先祖様を囲み共同飲食したのが起源だと言われておりますので、基本的には目下から目上の人、あるいはお世話になった人に感謝の気持ちを添えて贈ります。

但し、お歳暮は単発的なモノではないので、この一年間だけお世話になった人に一回だけ送る場合は、表書きを「お歳暮」としないで「お礼」とされる方がいいでしょう。
できれば手紙を同封して感謝の言葉を綴られる事をお勧めします。

日本は昔から神様と共に飲食をする大変ユニークな文化があります。正月のお節料理や春の花見もそうです。

だから今でも、お歳暮には食べ物や飲み物が多いわけです。
最近の売れ筋はビールやコーヒーやハムなど、欧米から入ったものが多いようですが、これも時代の流れでしょうか。

ちなみに、お中元は上元の1月15日、中元の7月15日、下元の10月15日に神様にお供えをして日頃の罪滅ぼしをしていた中国の習慣が日本に入ってきて、それが日本のお盆の贈答文化と重なってお中元として広まったわけです。

だから、予算の都合で、お中元とお歳暮のうちどちらかを送る場合はお歳暮を優先して下さい。理想はお歳暮とお中元の両方を贈ることです。

さらに、今まで御中元もお歳暮も贈っていたが、都合により贈るのを止めたい場合は、一年目は御中元だけ止めてお歳暮は贈り、2年目から両方を止めるのがお勧めです。

贈る時期ですが、本来は12月13日の「事始め」から20日頃までとされていましたが、最近では、デパートなどの戦略により年々贈る時期が早まっているようですね。
なお、「事始め」に関しては「マナーうんちく話415《正月事始め》」を参考にして下さい。

また、相手やこちらが喪中であっても、お歳暮は祝い品ではないので贈ってもかまいません。但し派手な華々しい紅白の水引などは避けた方が良いでしょう。

さらにお歳暮は、本来は持参して挨拶の口上を述べるのが筋です。
この際事前予約は不必要とされていましたが、最近では予約を入れた方がいいかもしれませんね。訪問先で自己紹介をして、来意を告げ、お歳暮を渡たせばいいでしょう。部屋に通された場合は「訪問ともてなし」のコラムを参考にして下さい。

魚介類には熨斗を掛けません。熨斗は元々「熨斗鮑」のことで、生臭い匂いがあるため、この匂いが重複するのを避けるためです。

水引は何度あっても良い紅白の「蝶結び」で、表書きは「お歳暮」として、その下にフルネームを書きます。

贈り物を頂いた時には、基本的には品物でのお返しは不要です。
しかし、もらいぱなしが気になるようでしたら、日をずらして「年賀」を贈るか、旅先から土産を贈ったらいいでしょう。
但し礼状は必要です。
頂いた時に受け取りの確認の意味も込めて電話、さらにその晩には礼状をしたためて、贈り主の行為に感謝して下さいね。


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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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