マナーうんちく話613≪一人食をもっと楽しんで!≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

台風一過、日射しが和らぎ、風が冷たさを運んでくると、山も里も急に紅葉色に染まった気がします。

これからは台風情報に一喜一憂することなく、紅葉前線を気にかけながら、世界屈指の美しさを誇る、日本の秋をじっくり見つめ直してみるのも良いですね。
その土地、土地に刻まれた文化、歴史、自然の美しさ、旬の恵み等など。

そして、まさに「天高く馬肥ゆる秋」です。
秋になって空気が澄み渡り、空が高く見えるようになると共に、実りの秋、収穫の秋で、馬も美味しい物を沢山食べて肥えるわけですが、これは、どちらかと言えば、警戒の意味を含んだ中国の言葉です。

美味しい物を腹一杯食べて、肥えて元気になった馬に盗賊が乗って、村を襲撃しにくるので、収穫の時期には十分注意しなさい!という意味です。平和な国日本では、食べ過ぎに注意し生活習慣病に注意しよう!でしょうか。

ところで、飽食の国日本の「鶏症候群《コケコッコ症候群》」をご存知でしょうか?日本の由々しき食事情を物語る言葉で、一人で食べる「孤食」、朝食を抜く「欠食」、家族が別々の物を食べる「個食」、激しく偏った物を食べる「固食」の総称です。

中でも、一人で寂しく食事をする「孤食」が大きな課題になっています。
子どももそうですが、大人の孤食も増加傾向にあります。なぜなら、未婚化の進展や超高齢化による独居高齢者が年々増加しているからです。

つまり若者も高齢者も「お一人様」が増えているということです。
お一人様は、一人で食事をすることを意味します。
加えて、家族持ちでも、一人で食事をすることは多々あります。

ちなみに、一人でする食事には色々なイメージがあります。
例えば、一過性でセンチメンタルなイメージが漂う「一人ぼっちの食事」とか、持続的な寂しさや厳しさが伺える「孤独な食事」など。

しかし、一人ぼっち食であろうと、孤食であろうと、一人で食べることに本質的には変わりがありません。ただ、一人食は今後ますます増える事は容易に想像できます。
だから、誰しも「一人食を楽しむ力」を付けることはとても大切です。

みんなでワイワイ食べるのも大変良いですが、この食べ方は、どちらかと言えば他者に気づかう社交性が問われます。従って料理に熱中することは容易ではありません。

しかし、一人食は、自分の好物を食卓に並べ、誰に構う事無く食べられるので、見た目や匂いや味などの五感を全て料理に注ぐことが可能です。
さらに開放感も有ります。

また、たまには贅沢してフレンチや会席料理を食べに行くのもお勧めです。
相手がいれば常に相手に気配りがいりますが、一人だと遠慮がいりません。好きな物がオーダーでき、好きなように食べることができます。

その際、悲壮な思いに陥るのではなく、姿勢を正し堂々とした振る舞いをして下さい。特に女性の場合は、周囲のプレッシャーに負けないように凛とした仕草で臨んで下さい。加えて、相手がいないから手持ち無沙汰になりがちですが、悠然として下さい。本を読んだり携帯やスマートフォンをいじったりしないでくださいね。

さらに、自宅で食べる時には、「飯でも食うか」ではなく、「美味しく食べよう」の思いで、丁寧に食べて下さい。パックのまま食べるのではなく、キチンと器に盛るだけでも違います。

一人だからお茶づけで、さっと短時間で済ませるなんてとんでもないことです。
「頂きます」の挨拶とともに、出来る限り手間をかけて、丁寧に食べること、そして丹念に味わって食べることが大切です。

よく、「食べてくれる人がいないからと言って料理を作らない人」がいますが、これはおかしいと思います。人のためではなく、自分を大切にして下さい。

日常生活における食事の時間は結構あります。一日3回の食事を、ないがしろにするか?できる限り時間をかけ感謝の気持ちで味わいながら丁寧にするかでは、人生そのものに雲泥に差が出ます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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