マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
種から育てた、モロヘイヤとオクラが収穫できるようになりました。
いずれも夏を代表するネバネバ野菜です。
酒のつまみにはなりそうにありませんが、栄養価も大いに期待でき、身も心も疲れ切った時には、大いに効果を発揮してくれそうです。
ところで、今日から「土用」ですが、本来土用と言えば「四立」、すなわち「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の直前の約18日間を「土用」と言います。
従って、土用と言われる雑節は一年に4回あるわけですが、最近では土用と言えば、一年で最も暑く、身も心もバテ気味になる夏の土用だけを指すようになりました。
今年の立秋は8月7日ですから、7月19日は「夏の土用入り」と言うことになります。
そしてこの時期の旬と言えば、野菜なら、オクラ・モロヘイヤ・ゴーヤなど栄養価の高いものが揃いますが、なんと言っても土用のご馳走は鰻ですね、
世界一「飽食の国」、「美食の国」になった今でも、夏の土用のご馳走は鰻ですが、実はこれには非常に長い歴史が有ります。
万葉集には有名な歌が有ります。
《石麻呂に吾物申す 夏痩せに良しと言う物ぞ 鰻取り食(め)せ》
作者は大伴家持で、「石麻呂さんに申し上げます。夏痩せに鰻がとても良いそうですから、鰻を捕って食べて下さい。」と言う意味です。
約1000年も前から、夏バテ防止には鰻が良く効く事が知られていたのですね。但し、当時は、鰻をどのように調理して食していたのかは解っていません。
醤油が開発されたのは江戸時代ですから、この頃だと、塩とか酢をつけて食べていたのでしょうか?
そして、何度も暑い夏を体感して、暑さを乗り切るために、鰻を始め、甘酒、しじみ、餅、卵など、栄養価の高いもので精力をつけていたのでしょうね。
現在では、鰻と言えば「かば焼」と言われる位「蒲焼」がポピュラーになり、夏のご馳走になりましたが、以前にもお話ししたように、鰻が一番おいしい時期は夏ではなく、晩秋から冬なのです。
冬眠に備えて、この頃に一番栄養を蓄え、豊満になるからです。
しかし、いずれにせよ、鰻の減少は留まるところを知りませんので、需要と供給の関係で、値段もまさに鰻上りですね。
原因は、河川の環境悪化や乱獲が考えられますが、1000年以上も長きに渡り、日本人の食卓や健康を支えてきた魚です。
今度は、少々の犠牲を払ってでも、日本人が鰻に対し思いやりの心を発揮し、鰻を支えて行かなくてはいけないと思うわけです。
ということは、今朝(19日)の山陽新聞の朝刊にも掲載されていましたが、鰻の代替えとして、当分の間、豚やサンマで我慢する必要が有るかもしれませんね。
今まで、好き放題にしてきた分、そのしわ寄せにたいして、ひたすら「我慢」の一言に尽きると思います。
そうなれば、なおさら食べたくなりますね・・・。
一度見についた美味や贅沢は、なかなか下げることができません。
困ったものですね・・・。