マナーうんちく話535≪五風十雨≫
7月8日の山陽新聞の朝刊に、岡山市の後楽園の「観蓮節(かんれんせつ)」の記事と写真が掲載されており、鮮やかなハスが花開く様子に、心が清らかになった気がしました。
「七十二候」では、7月12日から16日頃が「蓮初めて開く」頃です。
古今東西、美人は多くの花の美しさに例えられてきましたが、「蓮の花」と言えば何と言っても楊貴妃ですね。
加えて、蓮は「泥より出でて、泥に染まらず・・・」と言われるように、古来より、その凛とした清らかさが人々を魅了したのでしょうか?
後楽園の蓮は、岡山県出身の故大賀一郎博士が、弥生時代の地層から種を発見し、開花させたもので、「大賀ハス」として全国的にも有名になっています。
ところで、蓮の花は「蓮華(レンゲ)」で、蓮の種は「蓮の実」と言い精進料理で重宝されますが、「蓮の根」は何と呼ぶかご存知でしょうか?
「レンコン」です。
レンコンは美味しくて栄養学的にも、とても優れた食べ物ですが、日本では、穴があいているから「見通しが良い」とされ、縁起が良い食べ物です。
ちなみに、蓮は早朝から咲き始め、昼には閉じますが、ハスの花が咲く時には「ポンと」音がすると言われております。
私は聞いたことは有りませんが、この音を聞いた人は、「悟りが開けて幸せになれる」と言う言い伝えもあるそうですよ。
このようなこともあり、蓮の花と言えば、仏教を連想しませんか?
そういえば、仏像も蓮の花を台座にして安置されていますね。
これは、仏教では蓮の花は神聖な花とされているから、仏様は蓮の花に、お座りになられているのだと思います。
また、不祝儀袋に蓮の花が描かれている物は仏式専用ですね。
加えて、結果が善し悪しに関わらず行動や運命を共にすることを「一蓮托生(いちれんたくしょう)」といいますが、「托生」とは、仏教用語で、共に実を寄せて生きると言う意味です。
さらに、死んでからも、共に往生して、同じハスの花に仲良く身を託す事、すなわち、大変仲の良い夫婦の事を「蓮の台(うてな)に半座を分かつ」といいます。
「泥中の蓮」と言うことわざも有名ですね。
蓮の花は泥沼の中にあっても、それに染まることなく、清らかに咲くので、周囲の汚れた環境に左右される事無く、清廉潔白を保つという意味です。
「神聖」「清らかな心」と言う花言葉もここから由来するのでしょうか。
前述した大賀ハスは約2000年前のものだとか・・・。
その2000年前の種が現代に蘇って、無縁社会と言われる現代人に、無言で語りかけることは大変多いような気がします。
この時期は、蓮の花の観賞会や観蓮会が開催される所も多いようです。
最近客足が鈍って来た、周囲の人との人間関係が悪化してきた、と感じたら、早起きして、蓮の花を見て、心を清めるのも良いかもしれませんね。
7月・8月はお盆の月です。
心を清めてご先祖様の里帰りをお迎えする。
この気持ちこそ、全てに通じる「おもてなしの心」だと感じるわけです。