まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
野山の緑が濃くなり、新緑の季節が目の前にやってきましたね。
4月20日は二十四節季の一つ「穀雨(こくう)」です。
雨が若い芽を育み、穀物を育てる頃です。
春の雨は、比較的優しく柔らかい感じがしますが、特に万物の成長を助けるので昔から親しまれ、素敵な名前をつけてもらっています。
静かに降る雨は「春雨」。
花の咲くのを促すように降る雨は「催花雨(さいかう)」。
桜の花が咲く頃の雨は「桜雨」。
杏の花が咲く頃の雨は「杏花雨(きょうかう)」。
菜の花が咲く時期の長雨は「菜種梅雨(なたねづゆ)」等など。
そして、春の雨は、花の芽を潤し育くみ、美しい花を咲かせるので、「花の父母」と呼ばれます。
花や木が美しい花を咲かせるには、色々な気象条件が大切ですが、特に雨は必要不可欠だということです。
幾つ歳を重ねても、親はとかく、あれやこれやと口やかましいものですが、それも丁度今時の雨に、よく似ているかもしれませんね。
親のありがたみは、親がいなくなってわかりますが、春のうっとおしいとも思える長雨は、五月の新緑には欠かすことができません。
こうなると、春の雨は、もっと前向きにとらえなくてはいけませんね。
また西洋には、「三月の風、四月の雨が、五月の美しい花をもたらす」と言う諺が有ります。
三月の強風、四月の長雨があるからこそ、美しい花が咲き、新緑に覆われる五月が有るわけです。
つまり、美しい花は快晴だけでは咲かないと言うことです。
人生にたとえると、辛いことや苦しいことに耐えてこそ、心豊かな生活に有り付けると言うことです。
「若い時の苦労は買うてもせよ」といわれます。
若い時に、色々な苦労を経験すると、それが肥やしになり、人格が磨かれて、その後の人生にいい影響を与えるという意味です。
従って、苦労から逃げるのではなく、自ら進んでその苦労を引き受け、様々な経験をすることが大切だと思います。
最近は物が豊かになり、便利になり過ぎたせいで、若い人は、苦労を経験していません。
精神的にも肉体的にも、さらに苦労する事、耐える事、我慢することを経験さすべきだと痛感しています。
そのためには、先ず家庭の食卓の在り方が大切だと考えます。
つまり、食事の時は、姿勢を正して、感謝の気持ちで食す。
「頂きます」「ご馳走様」の挨拶をキチンとすることです。
加えて、好き嫌いをなくして、食べ残しをしないことも大切です。
また、箸や器を正しく扱うことはとても大切です。
これらができなかったら、先が思いやられます。
三月の風、四月の雨の前には、二月の雪が有ります。
つまり、雪や風や雨を経験して始めて美しい花が咲き実をつけるわけで、温室育ちでは期待通りにはいきません。
家庭においては親が子に対して、学校では教師が生徒に、職場では上司が部下に、愛情を注ぐと同時に厳しさも経験させていただきたいものです。
そのためには、親や教師や上に立つ人が良き見本を示さなければいけません。
素敵なマナーを発揮するには、辛いことも、悲しいことも、色々と経験することが大切です。