マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
月並みですが、人生山あり谷ありです。
嬉しいことも有れば悲しいことも有ります。
そんな時、どのような挨拶をするのか?今回はそのポイントを探ってみます。
出産から長寿まで、人生には様々な祝い事が有りますが、その都度「おめでとう」の言葉が頻繁に使われます。
「御芽出度う」とか、「御目出度う」の宛て字がつかわれることが多いですが、
新しい命の誕生と息吹を表すお祝いの言葉です。
また、この言葉を発する時のポイントは、「笑顔」で、「相手の目を見て」です。
そして、おめでとうと言われた側は、「笑顔」で、「相手の目を見て」、「ありがとう」の言葉を添えて返します。
そして、この祝福の言葉は、「言う人」も、「言われる人」も、また「傍でその言葉を聞いた人」も、気分が良くなる言葉です。
マナーは、相手を心地よくさせることです。
従って、誰でも心地良くなる言葉は、出し惜しみすることなく、積極的に、何度でも発して下さい。
「ありがとう」「美味しい」等の言葉もしかりです。
例えば、結婚式の時に、受付で「おめでとうございます」と言って、祝儀を渡したから、もう帰るまで言う必要が無いのではありません。
当事者を始め、親や親族等に対して、何度でも、言ってよい言葉です。
大きな結婚式場において、廊下やロビーで、他の組の人に出会った時でも、微笑んで「おめでとうございます」の挨拶が素直に出来る人は、マナー美人です。
慶事を寿ぐ言葉を「祝言(しゅうげん)」と言いますが、これには「結婚式」の意味も有ります。
結婚式は、おめでとうの言葉が飛び交う日なのです。
一方、これに対し「弔事」の時の言葉は、様子が異なります。
「おめでとう」とか「ありがとう」の言葉は、日頃から使い慣れていますが、弔事の言葉は慣れていないことと、掛けづらいのが特徴です。
しかも弔事は予告なしに突然やってきます。
従って、祝い事の挨拶のように、前もって練習もできません。
だから、「まさかの時」に対して、普段から心の備えをしておくことが大切だと思います。
ところで、遺族を訪ねてお悔やみを述べる事を「弔問」と言いますが、訃報に接した時に、遺族に向かって、どのような言葉を発していいか、迷われた方も多いと思います。
嘆き悲しんだり、相手のことを気の毒に思う「御愁傷様」と言う言葉が有りますが、キチンと言えればそれでいいですが、言いづらい時には、ただ黙って頭を下げるだけでも、気持ちは通じると思います。
弔事の言葉は、「短く」、そして「少なめ」がお勧めです。
亡くなった人との親密度にもよりますが、深い悲しみに見舞われた遺族に対し、気の利いた都合のよい、癒しの言葉は、残念ながら有りません。
上手に云えようとせずに、「この度はどうも・・・。」のように、低い声で、語尾が静かに消えていくような口調で言われたらいいでしょう。
それでも、キチンと伝えたい場合でしたら、「ご愁傷様です」、「心からお悔やみ申し上げます」、「胸中お察しいたします」等の言葉が妥当だと思います。
しかし、大切な事は、決まり切った言葉ではなく、心を込めて、遺族に対し、哀悼の気持ちを伝えることです。
遺族の悲しみに寄り添える言葉が一番いいと思いますが、では具体的にどんな言葉になるかは、亡くなられた時の状況や故人との関係等により異なります。
つまり、弔事にはマニュアル化された言葉は難しいと考えます。
「恥をかかないため」と言うより、いかに真心を込めて、自分の気持ちを伝えられるかではないでしょうか?