マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
昔から、正月に神様の鎮座される場所として、床の間に飾った鏡餅を食べると、新しい生命力にあやかれると言う言い伝えが有りました。
そして、今日1月11日は、その鏡餅を下げ、割って食す行事の日です。
本来は、武家の社会に伝わる、延命を祈願した行事です。
当時の武家社会は今とは違い、公私とも厳格な、しきたりや作法が存在した世界ですから、お供えした餅を食べるのも大変です。
例えば、武家社会の風習では、「欠く」とか「切る」と言う表現は、大変縁起が悪く、お供えした大きな鏡餅を食べる時も、包丁のような刃物は一切使うことはできません。
だから木槌で割って食べます。
但し、「割る」と言う表現も良くないので、「割る」を「開く」と言う表現に変えたわけです。
従って、お供えした鏡餅を食べる事を「鏡開き」と言います。
割った後の鏡餅は、ぜんざいや汁粉や雑煮などにして食して下さい。
餅は、美味しくて、栄養も有り、保存食にもなる理想的な食べ物ですが、年末にお供えしてから2週間くらい経過すると、固くなり、カビが生える事が有ります。
水につけたり、手間暇かけて、カビをそいで食べた記憶を持っている方も多いと思います。
「飽食の国」日本で、なぜそこまでして食べるのか?と言えば、「今年一年が健康に過ごせますように」とのおまじないです。
また、「開く」には「運を開く」との願いも込められています。
健康、開運、家族円満を祈願して、皆で、楽しく、美味しく食して下さい。
ところで、「運」と言えば、初詣などに行かれて、運を占うために「おみくじ」とひかれることは有りませんか?
その際、一度目のくじで好結果が出れば嬉しい限りですが、運悪く悪いくじを引いた時にはどうします?
もう一度引きたくなるのが人情ではないでしょうか。
日本では古来より、重要な祭りごとや後継者を選ぶ際に、「神の意志はどうか?」と占うために「おみくじ」を引いたわけです。
それがやがて、参拝者個人の吉凶を占うようになり、江戸時代になって、参拝客が神社でくじ引きをして占うようになったそうです。
科学万能の今でも、神様の前でくじを引くと言うことは、「神意を問う」と言うことにほかなりません。
だから、「引いたくじの結果が神様の意思で有る」と言うのが、くじの本来の意味です。
ならば、最初に引いたくじを真摯に受け止めることが大切である、と私は思いますが、皆様は如何でしょうか?
それにしても、年末の年越しそばに始まり、正月のお屠蘇、お節料理、七草粥、それに鏡餅等と、僅か10日間に、健康や長寿をお祈りする行事が多いですね。
それだけ、いつの世も、健康が大切ですよ!ということです。
睡眠、バランスの良い栄養、適度な運動を心がけ、ストレスは程々で、元気でご活躍下さいね。