マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
古くから、心を伝える手紙のマナーには決まり事が沢山あります。
「堅苦しいことは抜き」でと言うのも解りますが、マナーを無視した手紙で不快感を与えては元も子も有りません。
多様なマナーを理解して頂くためには、それなりの努力が必要ですが、一旦身に付けていただいたら、とても好印象を与え、豊かな人間関係を育むことができます。
そこで、手紙に込められた多様なルールをしっかり把握し、貴方の真心をしっかり掴んで頂くために、順を追って解説して参ります。
今回は「封筒」についてです。
封筒は身だしなみです。
本来は相手方に尋ねて行くべきところを、都合で行けないので、封書で済ますわけですが、その際封筒は、訪ねて行く時の「身だしなみ」と認識していただいたらいいと思います。
正装して訪ねて行く時には、封筒も白無地の和封筒か洋封筒になります。
つまり改まった時の手紙は、白無地の封筒と便箋になります。
いくら綺麗でも、柄や色が付いている封筒や便箋は、友人用やカジュアルシーンになります。
加えて、白無地の白い封筒でも、2重封筒(裏紙のある)は、「度重なる」と言う意味にもなりますので、弔事や病気・災害見舞い等では避けて頂いた方がいいと思います。
また茶封筒も、ビジネスには良いですが、プライベートでは事務的な印象になりますのでお勧めできません。
そして封筒は、手紙を受け取った相手が、最初に目にするものです。
つまり、「人の第一印象は見た目で決まる!」と言われているのと同じ理屈で、手紙を受け取った相手は、封筒の色と表書きで、感じ方が大きく異なります。
封筒の表書きで大切なことは、「丁寧な字でバランスよく!」がポイントです。
具体的には、封筒の横幅を3等分したと考えて頂き、右の3分の一のスペースに住所を書きます。その隣の3分の一のスペース(真ん中)に宛名を書くと、恰好よく纏まります。是非参考にして下さい。
但し、宛名は、住所より一文字くらい下から、そして、住所より大きめな字で書いて下さい。
ところで武士の世界では、同じ「様」の字でも、差し出す相手により、書体を変えて書き、特に名前は、墨を濃くしたりしたそうです。
その名残も有りますので、相手の名前は、特に丁寧に書かれることをお勧めします。
封筒の裏は、左側に差出人の〒・住所・氏名を書きますが、住所はできる限り、都道府県名から書いて下さい。名前はやや大きめに書きます。
ちなみに封筒を糊づけして閉じたらどうしていますか?
時々、合わせ目に「×」を書く人がいますが、正式には「〆」です。
あるいは、少し改まって「封」とか「緘(かん)」の字を使用するケースも有ります。さらにお目出度い時には「賀」、結婚式には「寿」等も使用します。
明日、明後日は「鰻」のお話になりますが、「手紙のマナー」はこれからも続きます。ご期待下さい。