マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
日本で初めて成文化されたマナーは、聖徳太子が官僚に向けて発した、「十七条の憲法」及び「冠位十二階」だと言われておりますが、これらは、社会や組織の秩序を良好に保つために、絶対的存在であったようです。
従って、当時の高級官僚たちは、出世のために、これらを一生懸命勉強していたものと思います。さらに、支配階級の人達が、自分の地位を守るためにも必要だったわけですね。
さらに江戸時代になると、社会がすっかり安定し、その上、封建社会をベースに身分制度がしっかり確立されてくると、マナーの需要が急激に高まり、もはやマナーは、一部の特権階級のモノだけではなくなります。
一般庶民も、一日に三回、食事ができ、寝巻を着て、布団で寝ることができるようになると、次は「人のために役に立ちたい」と考えるようになってきます。
「衣食足りて礼節を知る」と言うことです。
ちなみに、この頃築かれたマナーには大きな特徴が有ります。
封建制度の基、「家長制度」を基盤にして基確立されたマナーは、女性には耳が痛いかもしれませんが、「男尊女卑」的性格を有していたわけですね。
この点が、「レディーファースト」を優先している、西洋のマナーとは大きく異なるところです。
そしてその内容は、年中行事、食事、婚礼、葬儀、訪問、文書の作成等など、生活全般に及んでいます。今では考えられないことですが、夫婦の寝床まで決められていたようです。
さらに、現在でも随所にこの名残が見られます。
しかし、男性と女性の力関係は時代と共に大きく異なります。
「男女平等」とか「男女共同参画社会」が根付いてきたかと思えば、「草食系男子」や「肉食系女子」のような言葉も生まれてくる時代になりました。
ところで、女性と歩道を歩く時に、男性のあなたは、あえて車道側を歩きますか?
女性が大きな荷物を持っていたら、男性のあなたは、それを持ちますか?
以上が自然に実行できる男性は素敵だと思います。
では、女性の歩くスピードに、男性のあなたは歩調を合わせますか?
これは意外に難しいことだと思いますが、ぜひ実行して頂きたいことです。
レストランに食事に行く時には、さらに細かな配慮がほしいところです。
サービス体制が整っているレストランでは、キャプテン(黒服・マネージャー)が二人を席まで誘導してくれます。この際、キャプテンのすぐ後ろを歩くように彼女に声をかけて下さい。キャプテンの誘導が無い場合は、男性であるあなたが先を歩きます。
食前酒や料理をゆっくり選んでいただき、スタッフにオーダーするのは、男性であるあなたの役割です。特にドリンクのオーダーには注意して下さい。
さらにドリンクや料理が運ばれたら、「ありがとう」の一声があれば嬉しいですね。
くれぐれも横柄な態度はとらないでください。
加えて、支払いをする時は、笑顔で「ご馳走様」を忘れないでくださいね。
また、映画館では、既に映画が始まっていれば先に入るのは男性です。
エスカレーターを利用する時は、上がりのエスカレーターでは女性の後ろに男性が、下りのエスカレーターでは女性の前に男性が位置します。勿論、何かあった時に女性を守るためです。
男性が部屋の中で椅子に座っている時、女性が入ってきたら、この男性は起立して女性を迎えます。
思いは有っても、なかなか恥ずかしくて実行に移せない人が多いのが現状ですが、男性は、あらゆる場面で、女性をエスコートする文化を、もっと吸収すればいいと思います。
国際化が進展すればするほど、自国の礼儀・作法や文化を世界に向けて、発信することは、とても大事なことだと思います。
同時に、「レディーファースト」のような、西洋の素晴らしい文化を尊重するもの、プロトコールの基本的精神の一つです。
男性は、恥ずかしがらないことがポイントです。
女性は、男性がエスコート精神を発揮したら、遠慮しないで、ありがとうの言葉と共に受けることが大切です。
是非実行に移してください。心が豊かになります。