マナーうんちく話587≪「ひょうたん」と「幸せ婚」≫
各地で「しゃくやく祭り」や「バラ祭り」等が開催されていますが、今が旬の「紅花」をご存知でしょうか?
昔から女性には、大変なじみの深い花なのですが・・・。
紅花と言えば、健康に良い食用油を思い浮かべる方も多いと思いますが、昔は染物の原料として有名でした。水戸黄門シリーズにも登場しましたね。
また、女性の必需品である口紅は、この紅花の花弁に含まれる、たった1%の赤色の色素を抽出して手間暇をかけて作られていました。
ところで最近、和の文化が見直されてきていますが、後世に残してほしい日本女性の伝統美に「文金高島田」があります。
今では、見かけることが少なくなりましたが、花嫁が、白無垢や打ち掛けを着る時の、代表的な日本髪です。
金襴緞子の帯に文金高島田、色づく頬にさした紅・・・。
まさに、世界に誇る伝統美です。
日本が平和な社会で有ったからこそ、礼儀・作法等と共に栄えた文化ではないでしょうか?
ちなみに、文金高島田、白無垢、懐剣などは、武家娘の花嫁姿でしたが、明治以降は、花嫁の正装として広く定着しました。
娘が嫁つぐ際、嫁つぎ先でお金に不自由することが有ったらかわいそうなので、娘の母親が、娘の髪を高く結い上げ、その髪の中に小判を入れたのがその始まりだそうです。
嫁ぐ娘を思う母親の気持ちは、今も昔も変わりませんね。
ところで、このコラムでも何度も触れましたが、結婚する以上は、その結婚があくまで「ハッピーであるべき」だというのが、長年結婚式の仕事に携わってきた私の持論です。
そのためには、自分は「何のため」に結婚するのか?その目的をまず明確にすることがとても大切です。
「一人では寂しいから」「社会的な信用を付けたいから」「親を安心させたいから」「子どもが欲しいから」「温かい家庭を築きたいから」等など、その目的は10人10色です。
ここで大切なことは、目的の内容ではなく、自分にとって「何のための結婚か?」ということだと思います。
目的がきちんと定まった結婚は、当然それにマッチした生き方ができるので、よりハッピーになる可能性が高いわけです。
勿論、幸せな人生とは結婚がすべてではありません。
独身の方が幸せだと感じる人も結構いると思います。それはそれでいいのではと思います。
江戸時代に、嫁ぐ娘と、その娘の髪に小判を偲ばせた母親は、かなり強い覚悟を持っていたようですが、良い悪いは別として、どうもこの点が現代では甘いように感じます。
「結婚して上手くいかなかったら離婚すればいい」と娘は思い、母親は「嫌になったらいつでも帰ってきたらいいよ」と娘に言って聞かせる。はたしてそうでしょうか?
結婚すれば当然色々な人間関係が生じます。家族・親族・職場・友人・地域等。100歩譲ってそれらは良いとしても、子どもがいれば子供がかわいそうです。
最近、結婚式を挙げる際、結婚はあくまで二人の合意の上でするのであって、家と家の結びつきは関係ない。従って結婚式の招待状は二人の名前で出す。このようなカップルも多いようです。勿論、それはそれで結構なことだと思います。
しかし、結婚すれば、生まれも育ちも異なる他人同士が家族になります。
それぞれに、親もいれば、祖父母も兄弟がいます。それらが、皆家族になるわけです。
この時点で、二人だけの問題ではなくなります。
だからこの点を、より真剣に考えて頂きたいものです。
そして、それらの人と良好な人間関係を築き、ハッピーな結婚生活を送るには、結婚前後にやるべきことは沢山あります。当事者もそうですが、その親もしかりです。
結婚式やドレスや披露宴に関する情報は氾濫していますが、その情報が、どこから、何のために発信されているかよく見極めて、自分にとって本当に有益か否かを判断する力とともに、自分にとって何が必要なのかをきちんと判断して下さい。
そして、親はその良き相談相手になってあげるのが理想です。
次回に続きます。