マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
日本は南北に細長い国ですから、四季を通じ様々な花を愛でることができます。
厳寒の頃、百花に先駆けて咲く梅。
春爛漫の頃、華やかに咲く桜。
共に日本人の心を魅了する美しさが有りますが、その後に続く牡丹や芍薬も格別です。
例えば、その人がそこにいるだけで、場が明るくなり、気分が良くなる。
そんな素敵な人を、ホテルでの接客の仕事を通じ多々お見かけしました。
そして、本当に素敵な人とは、ただ外面が美しいばかりではなく、内面の美しさも兼ね備えている人ではないでしょうか?
今ではすっかり、口にしたり耳にしたりすることが無くなりましたが、
「立てば芍薬(しゃくやく) 座れば牡丹(ぼたん) 歩く姿は百合(ゆり)の花」という、美人を形容する言葉をご存知でしょうか?
また、そのように素敵な美人が近くにいますでしょうか?
芍薬と牡丹は共にボタン科の植物で、とてもよく似ていますが、「芍薬」は草で、茎の先端に花を咲かせるので、立ってみるとより美しいと言われています。
また「牡丹」は低木で、横向きの枝に花をつけるので、座った状態で眺める方が綺麗だそうです。また咲く時期も牡丹は4月中旬頃に咲きますが、芍薬はその後に咲きます。ちょうど今頃ですね。
さらに6月になると「百合」が甘い香りと共に咲きますが、この姿は歩きながら鑑賞するのがより美しいとか・・・。
芍薬、牡丹、百合の花。
それぞれ個性的な美しさを秘めていますが、現代の女性もしかりですね。
時代は大きく変わり、美人の定義も様々に変化したとはいえ、いつの時代も、「外見の美しさ」に、「内面から醸し出される魅力」が加味されれば最高ですね。
ところで美人と言えば、「小野小町・楊貴妃・クレヲパトラ」が日本ではよく登場します。
いわゆる「世界3大美人」ですね。
しかし、世界3大美人は、その国々の人達が都合のよいように勝手に決めているだけで、これといった決定版はないようです。従って小野小町も日本だけで通じるようです。
いずれにせよ、ここでの美人とは、色々な説が有りますが、当然外見的な魅力もさることながら、知性や教養、さらに男性をも手玉に取れる巧みなコミュニケーション能力まで有していたのではないでしょうか?
芍薬・牡丹・百合・小野小町・楊貴妃・クレヲパトラとまではいかないにせよ、自分なりに身も心も美しくなるよう、常に磨きをかけたいものです。
今の日本はとても豊かです。
ファッションセンスもメイクの技術も世界屈指です。
さらに外国人女性には真似のできない、「立ち居・振る舞いの美しさ」も身につけています。
そこで、それらの美しさに、「心の美しさ」を加味させれば、日本人女性は、名実ともに世界屈指の美人になれるのではないでしょうか?
今薫風と共に、芍薬が見頃を迎えており、何とも言えない清楚な雰囲気を漂わせています。牡丹の花言葉が「富貴」「誠実」に対し、芍薬は「つつましやか」「はじらい」です。
日本人女性ならではの言葉だと思いますが、それに倣い、いつもよりひと味違った素敵なマナーを発揮されてみるのもお勧めです。
5月・6月は、公民館・教育センター・ホテル等で、和室における美しい立ち居・振る舞い等の講座が始まります。
何かと慌ただしい世の中です。たまには和室で、先人が築いてきた日本の美しさを、落ち着いて味わうのも良いことですね。
そして今、国際化が急激に進展していますが、国際化が進展すればするほど、自国の素晴らしい文化や礼儀作法を積極的に、世界に向けて発信したいものです。
世界で一番美しい女性像!
それは着物を着た日本人女性が、凛とした姿で、畳に正座している姿であり、それに伴う立ち居振る舞いの美しさだと、私は思っています。
そしてこの美しさは、是非、後世にも伝えていきたいと願っております。