マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
4月から咲いている、れんげそう、ひなげし、しゃくなげ、はなみずき等に続き、ばら、しゃくやく、どくだみ、ベゴニア等が加わり、5月は花が一番多い季節になります。これに新緑の美しさと心地良い気温が加味されますので、5月は最高ですね。
ちなみに、「さっぱりとして大変気持ち良い様」を表現する言葉は、「さわやか(爽やか)」と「すがすがしい(清々しい)」ですが、その使い方は少々異なるようです。
英語ではいずれも「fresh」です。
しかし日本語では、「さわやか」は大気が澄む「秋の季語」です。一方「すがすがしい」は季語にはなっていないのでフルシーズン使用可能です。
ところで、ゴールデンウイークを構成する祝日には、「昭和の日」「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」が有りますが、「みどりの日」はどんな祝日かご存知でしょうか?
中年以上の人にはなじみが深かったことと思いますが、もともと4月29日は「昭和天皇誕生日」の祝日だったわけですが、天皇死去にともない、4月29日は「みどりの日」として、祝日として存続されました。
昭和天皇は植物に大変造詣が深く、自然をこよなく愛されたから、「みどりの日」という名前が付けられたそうです。その後、祝日法の改正により、4月29日は「昭和の日」になり、「みどりの日」は5月4日に移動したわけです。
祝日は、「なぜその日なのか?」ということが、大変大きな意味を持つと思うのですが、5月4日が、なぜ「みどりの日」になったのかはよく解りません。しかし、その理念は、「自然に親しむとともに、その恩恵に感謝し、豊かな心を育む」というものです。
自然が「人間に親しんで欲しい」と願っているか否かは別として、心地よい風が吹き、山が笑い、色々なものが一斉に芽吹いてくるこの季節に、感謝の念を抱きつつ出かけるのも良いものですね。
もともと「緑」は「癒しの色」だと言われています。
若葉・青葉の美しい緑色が、私たちに癒しの効果を与えてくれるのは、国土の7割以上を森で覆われて育ってきた、先人のDNNのお陰かもしれませんね。
今でも、くつろいだ空間作りに、緑色が使用されるケースは多々あります。
しかし、このような緑への思いや憧れに反して、経済的豊かさを追求する余り、緑豊かな自然が、急激な勢いで破壊されているのは由々しきことです。
特に昨年に未曽有の悲劇を生んだ原発事故の、反省も原因追及も事後処理も、殆ど手が付かないうちに、早くも原発再稼働の話しが浮上しているのは甚だ残念なことだと思います。
森の緑に囲まれて育った日本人は自然と調和して、長い間生活を営んできました。だから、自然の中に生活の知恵や工夫がしっかり根付いています。
日本の食べ物もしかりです。
「和食」は単に、旬の味わい、ダシの旨み、優れた栄養のバランスのみならず、常に自然を尊重し、正月や田植えなどの年中行事とも密接に繋がっています。
昨年の東北大震災で、私たちは自然の恐ろしさを、嫌というほど思い知らされました。
しかし、自然は私たちにとって、大変ありがたい存在に変わりありません。
日本の自然は、世界屈指の美しさを誇り、多くの実りをもたらしてくれます。
国土の7割を占める森林は、木材の供給、空気の正常作用、国土の保全、環境の保護、水質源の維持等、実に多彩な機能を発揮してくれています。水田もそうです。
だから、今年の「みどりの日」こそ、自然に対しより真摯に向かい合わねばいけないと感じます。その意味においても、4月28日に開催された、全国69市区町村長の「脱原発を目指す首長会議」は大いに意義あることだと思います。
日本は四季の美しい国ですが、それに伴い、風や雨や雪にも、吹き方・降り方・吹く時期・降る時期等により大変美しい名前が付けられています。さらに、「桜前線」や「紅葉前線」等の美しい言葉も有ります。加えて「山笑う」「山燃える」等の季語も数多く存在する国です。
このような国に原発はミスマッチだと私は思いますが如何でしょうか?
自然をよく観察し、理解し、そして自然と優しく接しなさい!
自然に対して、素晴らしいマナー(感謝の心と思いやりの心)を発揮しなさい!
「みどりの日」は、そのことを教えてくれる日です。