マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
コンクリートに囲まれた生活ではなかなか味わうことはできませんが、動物や植物は自然にとても敏感です。
寒さのせいで少し遅れましたが、今年も「マンサク(万作・満作)」が華麗な花をつけています。ご存知の方も多いと思いますが、マンサクには、春が近づくと枯れ木の中で一番早く咲くので「まず咲く」「まんず咲く」という意味と、花が非常に多く付くので「豊年満作に繋がる」という意味が有ります。
春の訪れを歓迎し、今年も豊穣の年になって欲しいとの期待を込めて、マンサクは「瑞穂の国」日本のみならず、西洋でも大変縁起の良い花として重宝されています。
そのせいでしょうか、マンサクの花言葉は「幸福の再来」「魔力」で、「魔女のハシバミ」とも呼ばれます。
まだまだ冷たい風に、細く淑やかな花弁がヒラヒラトそよぐ様子は、魔女が幸せを運んで来てくれているように思えます。
未曽有の災害をもたらした昨年の「3・11」から一年が過ぎ、復興や再生を合言葉に、日本中の人が頑張っている中、今年は「マンサク」の持つ花言葉に、例年以上に期待したいものです。
ところで、日本は東西に細長く四季が大変美しい国ですから、一年を通じ、実に沢山の花を愛でることができます。
特に岡山は、「晴れの国」ですから、花にとっても好条件です。
3月2日に、山陽新聞朝刊の一面に、ビニールハウスの桃の花の記事が、美しい写真と共に大きく掲載されていました。
地元を代表する新聞の一面に、季節の花が掲載されるということは、それだけ、「晴れの国」岡山が、自然に恵まれた豊かな国だからではないでしょうか?
桃は、桃太郎伝説を有す岡山県の県花であり、ひな祭りの時期でもあり、春の季語でもあり、豊穣と多産のシンボルでもあり、それでいて大変美しい桃の花に大きな感動を覚えた読者も多いと思います。
希望に満ちたワクワクする気持ちになりましたが、その桃を作っている人も、記事や写真を担当された記者も、きっと心が優しく、感性の豊かな方だと思います。
今、地球規模で一番深刻な問題は、「戦争」と「環境」だと言われております。
一方、花を愛する人は「心の優しい人」だと言われます。
そして、花の名前を知っているということは、同時に自然に対して、優しい気持や思いやりの心を持っていることにほかなりません。
現在「エコ」と呼ばれる言葉が大流行りですが、本当のエコとは、単にエコと言う言葉に踊らされるのではなく、自然に正面から向かい合い、自然を詳細に観察し、自然を思いやることだと思います。
そのためには先ず花の名前や、その花の持つ「花言葉」等も覚えることが大切だと感じます。
花言葉は「花につけられた、その花を象徴する意味」ですが、その国々により大きな違いが有ります。マナーも、その国々の伝統、国民性、文化、歴史、宗教により異なりますので、よく似ていますね。
ちなみに、日本の花言葉は明治維新と共に、多くはイギリスから入ってきたようです。
この点も、マナーとよく似ています。
しかし、マナーや花言葉は国々により異なりますが、「マナーを大事にする心」と「花を愛する心」はいずこの国も同じです。是非、花を好きになり、そして名前を覚えられることをおすすめします。このことが、ひいては争いを遠ざけ、環境にも優しくなる特効薬になります。
美しいマナーを心得ている人は素敵です。
そして、花の名前や野菜の名前を知っている人もとても魅力的です。
今回登場した魔女は、深い経験と豊富な知識を兼ね備えた賢い女です。
マナーを心得た思いやりのある人や、花を愛する心の優しい人には、きっと幸せを運んできてくれます。