マナーうんちく話87≪ハッピーな食卓とは?≫
食事のマナー24「フォーク・ナイフの知識と品の良い使い方」
洋食を食べる時に使用する、フォーク・ナイフ・スプン等の金物類を「カトラリー(cutlery)」と言います。私たちは業界用語で「シルバー」と呼んでいました。
Cutleryが意味するように、語源は「切る」で、厳密には刃の付いたナイフ状の物を指しますが、今ではスプンまで含めてカトラリーと呼んでいます。中世のヨーロッパにおいて登場しましたが、今でもヨーロッパでは、子どもの誕生祝いに銀のスプンを贈る習慣があるそうですね。これは「一生食べ物に不自由しませんように」との願いが込められています。
日本の「箸始め」(お喰い始め)と同じですね。
今、食事の食べ方のうんちくを書いていますが、昔は食べ方より、食べるものに苦労していたのですね。人類誕生約300万年の歴史の中で、人は2999950年位、常に飢えとの戦いでした。今でも、地球上の全人口約69億人中、8億人位が恒常的栄養失調に陥り、さらに1日数万人が、飢餓が原因で命を落としている現状を鑑みれば、満足に食べられることがどんなに幸せなことかが改めて認識できます。感謝!感謝!!
話を戻します。
カトラリーは、前菜、魚用、肉用、デザート用等が前もってセットされるケースと、それぞれの料理ごと、その都度セットされるケースがあります。これ以外では、スープスプン、デザートスプン、ティースプン、バターナイフ等がありますが、コースの内容に照らし合わせて使用すれば比較的簡単です。
問題は使い方ですね。詳しくは4月7日のマナーうんちく話60《イギリス式とフランス式》を参考にして下さい。その他のカトラリーの種類や使い方の要点を解説しておきます。
○フォークレスト
日本の箸置きに当たるものです。「ナイフレスト」ともいいます。ナイフ・フォークの2本を載せる時と、ナイフ・フォーク・スプンの3本を乗せる場合があります。
○魚用のナイフ
肉料理用のナイフの形状はほとんど同じですが、魚用のナイフは店により独特のスタイルをしており、豪華な装飾が施されているものが多いです。
○魚用のソーススプン
魚用のナイフの代わりに、ソースを美味しく頂くフランス料理独特のスプンです。ナイフとスプンの役目をします。
○フォーク・ナイフの持ち方
基本は、右手にナイフ、左手でフォークを持ち、2本がひと組になります。人指し指を伸ばし、ナイフ・フォークのそれぞれの背に当て、柄の一番下の部分が、手のひらの真ん中についている様にします。親指はナイフ・フォークの柄の脇に当てます。
○フォーク・ナイフの使い方
右手のナイフで切ります。左手のフォークで口に運びます。この時、口をフォークに近ずけるのではなく、フォークを口に持っていくのがポイントです。
○姿勢を正して優雅に!
美しく見えるポイントは何と言っても姿勢に有ります。和食もしかりです。
○左利きの人はどうする?
テーブルにセットされているフォーク・ナイフを勝手に置き換えるのは感心できません。食べる時に、フォーク・ナイフを逆に持って食べて下さい。但し食べ終わったら、フォーク・ナイフは右利きの人と同じように置いて下さいね。
ちなみに、フルコースのセットはパンが左側と決まっています。左利きだからといってこの位置を変えることは無理です。テーブルマナーは右利きで統一されています。
従って右利きにされることをお勧めします。箸もそうです。
○フォーク・ナイフが苦手ですから箸をください!
「フォーク・ナイフが苦手だから箸を下さい」とよくいわれます。お年寄りや体の不自由は人には、臨機応変に対応してあげるべきだと思います。でも、子どもの場合は、キチンと練習させてあげて下さい。
また、「私は日本人だからフォーク・ナイフではなく箸をください」と言う人も結構おられます。では、アメリカ人が日本に来て、「寿司」を食べる時、「私はアメリカ人だから、フォーク・ナイフを貸してくれ」と言いますか?洋食はフォークとナイフがお勧めです。
○カトラリーがシルバー製になっている理由
その1、「西洋は戦争の歴史だ」と言いましたが、当時は「食べ物に毒を混ぜて殺す方法」が一般的だったので、食べる道具を銀製にすれば、毒が混入していたら、銀が毒に反応して変色するから事前にわかります。
その2、銀は甘い輝きを放つから、銀製のカトラリーはテーブルの雰囲気をひときわ華やかにしてくれます。
その3、戦争のため金が入手しにくくなったため。等の理由が考えられます。