働きながら臨床心理士指定大学院や公認心理師養成大学院を目指す社会人の皆様へ。
臨床心理士指定大学院や公認心理師養成大学院を目指す人にとって、研究計画書や志望理由書の作成は、単なる受験準備の一環ではなく、自分の人生の進路を明確にするための極めて重要な作業です。京都コムニタスでは、この書類作成のプロセスをコーチングで丁寧に伴走し、試験会場に送り出すまでの一連のプロセスの中でも、最も重要な部分として位置づけています。
時期と準備の重要性
大学院によっては早ければ7月に入試があるところもあり、兵庫教育大学のように8月に試験がある場合、7月中には願書提出を終えていなければなりません。したがって、この5月〜6月には研究計画書の骨子を固めておく必要があります。願書提出直前に突貫工事のように書いた書類では、説得力も完成度も欠けるものになってしまいます。京都コムニタスでは、志望者の「何がしたいのか」を丁寧に引き出し、それをもとに各大学の特色に沿った形で書類を構成していきます。
書類作成のプロセス
志望理由書と研究計画書の作成は、単に文章力の問題ではありません。言語化の過程で、自分自身の考えの曖昧さに気づき、方向性の微調整を何度も重ねることになります。たとえば「大人をなめる子ども」に関心があるという表現では、「なめる」という語の曖昧さから議論が進まず、適切な言葉を探し続けた結果、「仮想的有能感」という心理学的概念に到達したケースもありました。こうした試行錯誤を重ねることで、面接に耐えうる内容が形作られていくのです。
また、研究計画の作成には、ある種の迷走と発見の繰り返しがつきものです。一つの仮説にたどり着いたと思っても、さらに深く掘り下げていくうちに別の視点やテーマに気づくことがあります。その度に方向を調整し、必要に応じてテーマを修正する柔軟性が求められます。こうしたプロセスに伴走し、必要なフィードバックを返すのが京都コムニタスのスタッフの役目です。
書類の品質とこだわり
書類作成には終わりがありません。常に改善の余地があり、提出最終日まで手を加える姿勢が必要です。京都コムニタスでは、多くの塾生が最終日ギリギリまで推敲を続けます。その努力の積み重ねが、本人の自信につながり、最終的には大きな成果へと結びつくのです。とりわけ、最終段階での一文の修正が、文章全体の印象を劇的に変えることもあるため、些細な推敲も決して無駄にはなりません。
一人ひとりの塾生に対して、それぞれの文体や表現の癖に合わせた個別のアドバイスが求められます。そのため、スタッフは単なる添削者ではなく、対話を通して「その人の言葉」にしていく調整役でもあるのです。模範的な文章ではなく、その人らしい熱意が伝わるかどうかが、合否を分ける鍵になることもしばしばあります。だからこそ、京都コムニタスでは、文章の型だけを教えるのではなく、背景にある想いや経験を言葉にする力を育てることに力を入れているのです。
大学ごとの特徴への対応
研究計画書の字数制限は大学によって異なります。京都文教大学や帝塚山大学のように2000字を要する大学もあれば、京都光華女子大学のように600字と少ないところもあります。まずは字数の多い大学に合わせて書き、その後に短くまとめるという手順が効率的です。また、研究計画書を日本語で求める大学がほとんどであるため、英語力以上に日本語力の強化が求められます。さらに、日本語の表現には曖昧さや多義性が含まれやすいため、読み手の誤解を避けるための慎重な言葉選びが不可欠です。
書式の基本と注意点
書式が指定されていない場合は、A4サイズ、横書き1200字程度を基本とします。フォントは明朝またはゴシック、10.5〜12ポイント。行間を広く、文字間隔は詰め気味に、左右の余白を適切にとることで、読みやすい書類となります。印刷用紙は白無地のコピー用紙を使用し、感熱紙や高級紙は避けます。手書きの場合は鉛筆や消えるインクを使わず、一般的なボールペンを使用しましょう。三つ折りにして提出する際も、指定の封筒に合うよう配慮する必要があります。
読み手を意識した文章
重要なのは、文章の読み手を明確に想定して書くことです。大学の先生という特定の相手を想定し、その方に届くように内容や構成を練る必要があります。志望理由書は、愛の告白のようなものであり、同時に複数の相手に向けて書くものではありません。「あなたしかいない」という強いメッセージが伝わるように仕上げましょう。また、読み手を信頼することも重要です。読み手が理解できないのではなく、伝わらなかった場合は書き手に課題があるという姿勢が求められます。
また、どのような人に向けて書くのかという意識が定まっていないと、抽象的で曖昧な表現になりがちです。誰に読まれるのかを明確にし、その人にどのように伝わるかを想像することで、文章はぐっと伝わりやすくなります。京都コムニタスでは、面接の担当教員の性格や過去の発言、研究テーマを踏まえた指導も行っており、より個別具体的な文章が仕上がるよう支援しています。
書類作成から面接へのつながり
良い書類は、面接においても有利に働きます。面接では、提出書類に基づいて質疑応答が行われるため、書類の完成度がそのまま面接での対応力につながるのです。また、書類を丁寧に仕上げた経験は、その後の修士論文作成にも活きてきます。書類を通して自分の考えを他者に伝える訓練は、学問における基礎スキルの一つです。
受験勉強には「受験曲線」と呼ばれる現象があります。直前期に一気に力が伸びる人が多く、書類作成でも同様のことが言えます。ただし、直前の伸びは、それまでの積み重ねがあってこそです。最後の最後まで粘り強く取り組むことで、自信と結果を手にすることができます。書類の完成度が自信となり、その後の勉強意欲にも良い影響を与えることがあります。
京都コムニタスでは、書類作成においても受験の本番と同じくらいの熱量で、個別にサポートを行っています。書類を通して伝えたいのは、あなたの熱意と誠意です。そして、読み手を信頼し、読みやすく、わかりやすく、誠実な文章を作ること。書類作成は、単なる作業ではなく、自分自身との対話の連続であり、将来への第一歩となる重要な営みです。
このように、京都コムニタスでの書類作成は、単なる書類作成指導にとどまらず、一人ひとりの人生に向き合い、その将来設計の一部を共に担う真摯な取り組みです。どれだけ時間をかけたか、どれだけ悩んだか、その経験のすべてが、将来の学びの礎となっていきます。だからこそ、書類作成は一過性のタスクではなく、自分自身の根幹に向き合う真剣勝負であると考えていただきたいのです。



