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小橋広市

元建築家。女性の起業サポートするコーチングのプロ

小橋広市(こばしひろ) / 講師

一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会

コラム

現代の住環境は日本の風土に本当に適しているのか

2018年10月24日 公開 / 2020年10月25日更新

テーマ:住環境習慣コンディショニング

コラムカテゴリ:スクール・習い事

明日は月2回行っている舞鶴のステンドグラス教室。作家としては引退しましたが、
好きなんですね、人に伝えていくことが。そして伝えられた人がさらに伝えていくこと。できたら身体が動く限り続けたいですね。

自然に抗う日本家屋


一昔前の日本の季節は、四季を通じてほぼ一定でしたが、今は毎年、異常気象です。昔から日本人が大切にしている基本的な生活習慣や美意識まで変わりつつあります。

建物も、地域の風土に適応する構造になっています。異常気象が多いと言っても、どこかで自然と折り合いをつけることを考えなければなりませんが、自然に抗うように今の日本家屋は、高気密高断熱構造になっています。
 
どこかの国からの汚染物質の飛散や、高温多湿の気候になりつつあることを考えると仕方がないのかもしれませんが、自然エネルギーを利用する観点から見ると諸刃の剣のようです。
 

空気が澄み切った爽やかな季節には、思いっきり窓を全開にしたくなります。風通しが良く、燦々と太陽光は入ってくる住まいは精神的にも健康で寛げる空間です。
 
ところが、高気密高断熱の住まいは、風通しや採光は最低限の法規制の範囲。地域や季節によって風の向きや採光は変わりますが、そこに重きを置いてないので、いざ、風を通そうと窓を開放しても風の通りが悪く、結露した湿気が抜けません。
 
日本古来の風土にあった生活習慣は、いつの頃からか、建物の構造と共に、閉鎖的になり、ご近所と関わることも少なくなったことで、人間関係も希薄になったように思います。

そして住まいの間取りも変わりました。どこの家にも普通にあった和室はなくなり、
生活はリビングが中心。しかし、家族が集まるリビングとは名ばかりで、笑い声がする家族団欒は遥か昔のこと。



あおり

徒然草の予言


これは、数百年前に書かれた「徒然草」の一節から引用。  

家の作りやうは、夏をむねとすべし。
冬は、いかなる所にも住まる。
暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。
深き水は、涼しげなし。

浅くて流れたる、遥かに涼し。
細かなる物を見るに、
遣り戸は、蔀の間よりも明し。
天井の高さは、冬寒く、燈暗し。

「家の作りやうは、夏をむねとすべし」
(家は夏の住みやすさを優先しなさい)

「遣り戸は、蔀の間よりも明し」
(扉より引き戸の方が開放的)
 

この一節は建築を学んでいるとよく出てくる話です。吉田兼好氏は、まるで現代の住まいを予言しているかのようです。例え、気候や生活が変わっても、日本人の中に培われたアイデンティティは変わらないということでしょうか。

私の個人理念「良き家庭は良き社会を創る」そして良き住まいは良き家族をつくる。

私が第二の人生を歩くようになって強く思うのは、現代社会の良いところも悪いところも、「住まい」というコミュニティボックスの中で、家族の関係性がそのまま外の社会に反映しているように思います。



【小さな実践】
あなたの寛げる場所を3つ書き出し、何故、寛げるのか理由を書き出してみる



 

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小橋広市(一般社団法人Self&Lifeコンディショニング協会)

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