セイカガイシャ?!?
今日の目次
・きれいな色のセーターですね
・鮮やかな赤の効果だったのか?
・まあ、お似合いですこと
・素敵ねえ、モデルさんみたい
・あの人サクラですか?
・赤色、また褒められた
・年配の女性に声をかけられやすいのか?!
・私の心をちょっぴり揺らしてくれた出来事
きれいな色のセーターですね
あれは、昨年の冬上京していたときのことでした。たまに立ち寄るお蕎麦屋さんで狸そばをすすっていた時のことです。その日私は、前日購入した真紅のセーターをさっそく羽織って、ちょっと好い気分でいました
すると、その店のおかみさんと思われる年配の女性がいきなり声をかけてきたのです。で、なんと「すごくきれいな色のセーターですね。鮮やかな赤で素敵だわ。」と言われたではありませんか。
そのお店はいつもそこの息子らしき中年の男性が仕切っており、彼のお母さんと思しきこの年配のご婦人に会うのは初めてでした。私は、ちょっと戸惑いましたが「あ、ありがとうございます。」と軽くお礼の返事を返したのでした。
この日着ていた真紅のセーター。実は、昔から鮮やかな赤色のセーターをずっと探していたのですが、なかなか思うような色に遭遇できないでいました。
鮮やかな赤の効果だったのか?
赤と言っても実に多種多様です。燃えるような真紅もあれば、血の色に似た深紅もあります。ローズピンクを限りなく濃くしたような赤もあるかと思えば、薔薇の花に見られるような深く黒に近い赤もあったりします。
私が好きな赤は、血の色に近い鮮やかな赤になります。真紅の薔薇の深い赤も好きな色です。
このとき着ていたセーターは、発色の良い鮮やかな赤でした。前の日、新宿のデパートで、ひと目で気に入り買った一枚だったのです。次の日には、さっそく「こいつを羽織って一杯飲みに行こう。」と出かけ、途中で腹ごしらえに件(くだん)の蕎麦屋に立ち寄ったのでした。
これは、年配のご婦人の心にも刺さる「赤」だったのでしょうか。ブランド品でも何でもないプレーンなカシミア素材のセーターでしたが、そうやっていきなり褒められて悪い気がしなかったのは言うまでもありません。
燃えるような赤
まあ、お似合いですこと
また、今度はつい春先のことです。地元のデパートをぷらっと歩いていたら、革製品で有名な「コーチ」が珍しくセールをやっていました。バッグやら財布やら、アクセサリーなどもセール価格になっていたのですが、そのほとんどが女性ものでした。
男性の衣類も少しハンガーにかかっていたので、チラッと覗いてみると、ごくごくオーソドックスなデザインのスエードのGジャンが目に入りました。この素材で、こんな普通のタイプのGジャンなんて却って珍しいな、と思いました。この手の衣類は、どちらかといえば過剰なデザインや装飾などが施されていることが多いものです。
ジッと見ていると「いかがです。羽織ってみませんか?」と、年配の女性店員さんに声をかけられたので、『まあ、羽織ってみるだけ羽織ってみるか・・・』と、大した考えもなく、袖を通してみました。すると「まあ、お似合いですこと。ぴったりですよ。」と、褒められます。
しかし、こんなのは想定内の反応です。売る側が「似合わない」なんていうはずがありません。まあ、それはともかくとして、私もなかなかいいな、と気に入った一枚でした。
素敵ねえ、モデルさんみたい
とはいえ、当然ですが、そんな安いものではないはずです。買う気などさらさらないので、脱ごうとした、そのときです。そばを通りかかった、やはりかなり年配の見知らぬご婦人が、いきなり声をかけてきたではありませんか。
「あら、すごくいいじゃないの。あなた、よく似合ってるわよ。」「え!は?」こちらが驚いていると、さらに「素敵ねえ。モデルさんみたい。」と、グイグイ迫ってきます。
「あっ、いやいや、そんな・・・」と、私はその勢いに気押されそうになりながら後ずさりしました。ところがその後婦人、なんだかすごく熱心な人で、売り場の中まで追いかけてきて、「それ、すごく似合ってていいわよ。」と、宣(のたま)われるではありませんか。
あの人サクラですか?
私は思わず苦笑して、先ほどの店員さんに小声で「あの方、コーチのサクラかなんかですか?」と聞きました。店員さんも笑いながら「いえいえ、通りがかりのお客様です。それにしても、なんかすごい勢いですね。よっぽど、気に入られたんじゃないですか。」と、笑っています。
と、そんなドタバタ劇があって、気がついたら、私は結局そのGジャンを買ってしまっていたのです。まあ、思ったよりもかなり安かった、ということもありました。とはいえ、あのご婦人の「お褒めの言葉」に圧倒されていなかったら、買うところまではいかなかったんじゃないかなあ、と思うんですが・・(他人(ひと)のせいにしちゃあいけませんね。)
結果として、『そんなに悪い買い物ではなかったじゃないか。』と自分に言い聞かせているところではあります。ただ、普段、自分を戒めていたはずの「衝動買い」という奴をまたやってしまったのでした。
衝動買いしちまいました
赤色、また褒められた
そしてこれは、さらに先日の話になります。冒頭で書いた真っ赤なセーターを着て、昼飯を食べに老舗の食堂に入ったときのことです。席につくと、ほどなく年配のウエイトレスというか、お給仕の女性が注文を取りに来ました。
するとこちらが何も言わない前に、向こうから声をかけられたのです。「・・・・ですね・・」何を言っているのか、最初よく聞こえませんでした。
「え?」と私が聞き返すと、「お洒落ですね、そのセーター。」と、また件の赤いセーターを褒められたのです。私は戸惑いながらも、かろうじて「あ、ど、どうも。」と返事を返したのでした。
それにしても、この数カ月の間に、着ているものに関して、こんな風に声をかけられるのはこれで3回目になります。いやはや、なんてこった、と思わざるを得ません。
年配の女性に声をかけられやすいのか?!
冒頭に書いた蕎麦屋のおかみさんは、もうかなりのお年で、明らかに80代くらいの年齢でした。デパートで声をかけてきた見知らぬ女性も70代後半か80代には見えました。3人目、老舗食堂の女給さんもたぶん70代くらいだったと思います。
『俺は年配の女性には声をかけられやすいのか?!』・・・むむ、やや複雑な気分です。
まあ、いずれもお褒めのお言葉だったので悪い気はしなかったのですが、いかにもその平均年齢が高い。まあ、こっちも既に70代ですから、他人の年齢を云々できる年ではありません。素直に受け止めることにしよう、と気を取り直したのでした。
赤いセーターもスエードのGジャンも、年齢からすると少し若い人のファッションと言えるでしょう。こんな爺いがそんな服を着ていると一声かけたくなるのかな?とも思いました。
着るものに関しては、年相応に落ち着いたものを、とか、年だからこそあえて華やかなものを、とか、世の中ではいろいろ言われているようです。正解はあるのでしょうか。
私の心をちょっぴり揺らしてくれた出来事
私の場合、そんな世間の意見を意識する、ということは全くありません。落ち着いたトーンだろうが、華やかなパステルカラーだろうが、今でも好きなものを着たいときに着るだけのことです。ちょっとだけこだわりがあるとすれば、できれば素材の良いものを、ということくらいでしょうか。
ただ体形だけは意識していないと、腰が曲がったり、背中が丸くなったり、太り過ぎたりすると私の着たいものが似合わなくなることは確かです。なので、できるだけ体幹が崩れないように、と軽い筋トレなど繰り返しながら日々気をつけるようにしています。
近年、何でもない日常の出来事や会話など、すぐに忘れてしまうのが当たり前になってきました。ただ、今回我が身に起こった3件の事件?は、ちょっと印象的だったので記憶に残ったのです。
どうあれ、異性に褒められるというのは悪い気はしません。年齢を重ね、普段ちょっとした高揚感なども、すっかり覚えなくなった私の心をちょっぴり揺らしてくれた出来事でした。
赤いセーターやスエードのGジャン、また気分も新たに軽く羽織って街に出かけるとするかな。



