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海江田博士プロは鹿児島読売テレビが厳正なる審査をした登録専門家です

様々な才覚について考える―勉強を続けられる、というひとつの才能―(後編)

海江田博士

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テーマ:自分を振り返る

今日の目次
勉強が嫌いだっただけの話
俺に取り柄はなかったのか?
逃避的読書行動、だったのか?
難しい文学作品を読めるのも才能か
本をむさぼり読んだおかげかも

勉強が嫌いだっただけの話

「長時間の勉強に耐え得る、というのは一種の才能であって、それがあれば当然良い成績が取れる。」というのが私の体験的な分析でした。
尤も、成績がいいということと、長時間の勉強に耐えられるというのは、そもそもその人間の素質であり相関関係も強いでしょうから、勉強のできていた奴がそのまま「長時間勉強」という試練を克服できるタイプの可能性が高いのだろうと思います。私は、小学生の頃ちょっとは勉強ができていたものの、この「長時間勉強し続けることができる」という才能にはまるで恵まれていませんでした。
いやいや、回りくどい言い方はやめましよう。早い話が、私は勉強が嫌いだったのです。
進学校に受かるところまでは良かったのですが、その後、当たり前のこととして勉強をし続ける必要があったにもかかわらず、それができなかったということです。この才能のなさ、貧しさには呆れるばかりです。
一流の野球選手が子供の頃からキツイはずの野球の練習を苦も無く続けられたように、一流のピアニストが一日何時間にも及ぶ練習が全然嫌じゃなかったように、勉強にもそれを苦しいと感じずに続けられる、という才能があるのだろうと思います。

俺に取り柄はなかったのか?

せっかく入学した進学校を、成績不良という屈辱的な要因で去らねばならなかったという現実は、自分のせいにもかかわらず、ひどく私のプライドを傷つけました。「ひたすら勉強だけをしていればいい、という環境下に身を置きながら、俺はそれを全く怠ってしまった。俺には勉強に代わる何か取り柄みたいなものはなかったのだろうか?」というのが、その後長い間、私のテーマでもあったのです。
「まあ、そんな取り柄なんかきっとなかったんだろうな。」と、ずっと後悔しながら生きてきた私。ところが、近年ふと『あれは俺の認識不足だったんじゃないだろうか?』という思いが頭をよぎるようになってきたのです。というのは、あれだけ勉強をしなかったその時間、俺はいったい何をしていたんだっけ?と記憶をたどったとき、そういえば、と思い出したのです。
「俺はいったい何をしていたのか?!?」・・・それはとにかく「読書」だったということです。

逃避的読書行動、だったのか?

当時私は、嫌いな勉強から逃げるように、どっぷりと本の世界に浸っていました。今みたいにスマホもSNSもない時代で、テレビも下宿先では好きなように観ることはできません。そんなとき、私はひたすら本を読み、好きな文学に没頭していたのです。
この読書には、当然後ろめたいところがあって、『本当は勉強しなきゃいけないのに、俺は読書に逃げている。』という意識がどうしてもぬぐえませんでした。まあ、実際そうだったと思います。勉強すべきことはいくらでもあるのに、宿題さえサボって本を読んでいたのですからそう思うのも当り前の話です。
当時の自分の行動パターンを、「俺ってホントにダメな奴だったなあ。」とマイナスに評価すれば当然そうなります。しかし近年、ちょっと別の見方もできたのではないか、と思い始めまたのです。

難しい文学作品を読めるのも才能か

ちょっと別の見方・・・何故そう思うのかといえば、実は当時読んでいた本が、今振り返ってみると結構難しい文学作品だった、ということに気がついたからです。それは、国内文学では夏目漱石、森鴎外、芥川龍之介、ドイツ文学のヘルマン・ヘッセ、トーマス・マン、ロシア文学のトルストイ、ドストエフスキーなどでした。
こういった作家の作品、正直言って今読めと言われてもちょっとしんどく感じるくらいの重たい内容です。いくら勉強が嫌いだから逃げていたといっても、逃げ込む先としてはそれほど楽な領域ではありませんでした。
つまり、今回書いてきたロジックで言えば、『ひょっとしたら俺には、難しい文学作品を読み続けられる、という才能はあったんじゃないか。』ということになります。ただこれが、学校の勉強とはまるで関係がなかったために残念な結果になったのでした。

本をむさぼり読んだおかげかも

せっかく入った進学校を心ならずも去らざるを得ない羽目になって、ずぅーっとコンプレックスを抱いてきた私。あのとき、文学などにのめり込まないで、ちゃんと勉強していれば、との思いを捨てきれなかったのですが、ようやく『いや、あれはあれで一つの才能だったかも知れないな。』と、思えるようになってきたということです。
今でも『できればあの頃「勉強を続けられる」という才能が欲しかったんだけどなあ。』との思いが完全に払拭できたわけではありません。しかし、現在こうやって文章など書きながら人生を楽しめているのは、『あの頃、かなり集中して本をむさぼり読んだおかげかも知れない。そう思うようにしよう。』なんて考えられるようになってきたのです。
そんな風に思考を切り替えて、当時の自分を認めてあげなくっちゃね、と思いながら生きている今日この頃であります。



これを読んだとは・・・・


おしまい

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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