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マスメディアからパーソナルメディアへ―そうか!私たちは今、口コミ時代の最強ツールを手にした―

海江田博士

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テーマ:「情報発信(アウトプット)」戦略について

何故知ってるの?ある不思議な現象

これは、コロナ前の話ですが、テレビの食レポの企画などで、レポーターがどこか田舎に飛んで、その地方のローカル情報などをもとに、地元で評判の食べ物屋を探し当てる、といった構成の番組をよく見かけました。レポーターは、期待と若干の不安を胸に、ようやく探し当てたかなりの田舎に佇むその店に恐る恐る入ります。
ところが中に入ると、そこはすでに賑わっており、普通に外国人のカップルなどが来ていて、おいしそうにその店の名物メニューを食べています。そんな予想外の光景に出くわしレポーターがびっくりする、といった場面をときどき見かけました。
これはいったいどういうことなのでしょうか。何故彼ら(外国人)は、名物店とはいえ、そんな田舎のひなびた飲食店のことを知っているのでしょうか。


強力な情報源、ガイドブックとSNS

もちろん、まずそのネタ元として外国人向けの、外国で出版されているガイドブックといったものが考えられます。こういった解説本の中では、日本人があまり目をつけないような場所とかモノが、外国人独自の視点や切り口で紹介されています。そういった情報をもとに、日本人にもあまり知られていないようなレアな場所へ、彼らはやって来ているようです。
しかし何といっても、こういったレアな場所やモノに関する情報源としてはSNSが一番に考えられます。インターネット上で日々書き換えられ更新される最新情報を彼らはキャッチし、日本人の我々でさえ知らないような場所や食べ物にアプローチし実際それを体験しているのです。
こういった現象はいったい何を意味しているのでしょうか。何故彼らは日本人も知らないような「特別な場所」を知っているのでしょうか。


マスメディアに頼るしかなかった時代

昔は、こちらからの「情報発信(アウトプット)」といえば、ほぼマスメディアに頼るしかありませんでした。例えば、自社の広告宣伝を行なう場合、新聞、雑誌への掲載にしても折り込みチラシにしても、かなり高額な費用を負担してそれらの媒体に載せるしかなかったのです。また、そういった媒体には、その印刷物の配布エリアや発行部数などの「あらかじめ決められた範囲や限界」といった縛りや制限がありますが、それに対しても、ひたすらこちら側が合わせるしかありませんでした。
テレビやラジオにしてもそうです。原則、番組や広告は、その電波の届く範囲に住む人全部が対象で、事前にこちらから相手をセレクトすることはできません。それはまさに「マス広告」であり、多くの人に届く割にはターゲットを絞ることもできない、いわばコスパの悪い「情報発信(アウトプット)」だったことになります。
しかも、そもそもの前提が「マス」ですので、いずれもかかる費用はそれなりに大きくなります。こういった事情を背景に、メディアを媒体とした広告宣伝は、必然的に大手企業や大手広告代理店の独占的な取り扱いになっていたのです。「マス」を分母にせざるを得ない世界では、どうしても「規模」の違いによって差が生まれます。そこにおいては、大手による紙面や電波の独占権、優先権といった現象が起こってしまうのです。


個別の情報発信(アウトプット)が効き目を表す時代

しかし、現在そういった事情が全く異なる世界になってきました。冒頭で述べた外国人の例のように「個々人の「情報発信(アウトプット)」が、大きな役割や効果を表わす時代になった!」ということにほかなりません。
中でも、SNS等を通じた、低コストで個別の「情報発信(アウトプット)」となるとどうでしょうか。費用がほとんどかからない世界ということは、そういった(コスト面での)ハンディーが全く存在しないことになります。
しかも、中小企業の場合、もともと一般大衆による「大量消費」を当てにしているわけではありません。こちらの提供する商材やサービスに関心があり、その情報を求めている特定の人にそれが届けばいいのです。
もちろん、初めから効率よくその情報を捜している人に届ける、というのは難しい話かも知れませんが、「情報発信(アウトプット)」を継続的に続けていれば、一定の分母は出来上がっていきます。中小企業は、その「一定の分母」が作れればいいのであって、何も前述のように「大量消費」をあてにして、高コストの広告計画など考える必要がありません。


「口コミ」をSNSで最強の武器に

昔から「究極の広告宣伝は口コミである。」と言われています。「口コミ」というのは、その人の「体験(おいしいとかきれいとか気持ちがいいとかの・・)」というまっさらなレア情報が、何のバイアスもかかっていない前提で伝えられるために、第3者からの信用度、信頼性がより確かなものになるわけです。
以前はこの「口コミ」は、まさに「口コミ」でしかありませんでした。実際に、その人或いはその人から直に聞いた人などから直接的直線的に伝え聞くしかなかったのです。
ところが、パーソナルなデジタル系情報媒体(主にSNS)の登場でその前提は大きく変わりました。一瞬で、ほぼ無限大の他者に情報を届けることが可能になったのです。


一定の支持者を得るために

この便利な道具を、中小企業関係者、特に経営者が使わない手はありません。冒頭で触れたレアなものや場所を指定してくる外国人旅行者は、以前より増えたといっても世界的に見ればまだまだ少数派です。
それでも、その少数派の支持を受けた名物や観光地などの中には、息を吹き返したり、新たな切り口でビジネスチャンスを見つけたりしたところも多いはずです。世界から見れば少数派であっても、特定の地域や企業から見れば十分な分母になるからです。
前述のように、中小企業の場合は、大量の消費を必要としません。逆に、あまりに多くの要望があっても応えることができないでしょう。
「一定の支持者=一定の分母」が安定的にいてくれればそれでいいわけです。その「一定の支持者」を得る最良の方策は「口コミ」なのであり、しかも、それを得る方法がSNSという具体的な形で目の前に用意されているのが現代です。
経営者は、まずその「一定の支持者」を得る努力をする必要があります。それには、その土台を作るために、自らが率先して「情報発信(アウトプット)」を行なうべきです。そうすれば現代の高度な「口コミ」戦略、即ちSNSを見事に活用した勝者になれるはずです。



マスメディアは高くつく

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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