社長に不可欠なスキル「マルチチャネル的思考」―様々な情報発信空間を駆使せよ―
オンリーワンを目指せ、というが
経営上の助言で、よく「ナンバーワンではなく、オンリーワンを目指せ!」と言った言葉を聞きます。どういうことなのでしょうか。
それは、「ナンバーワンを実現しようと思っても、そもそも競争相手と比べて規模や組織力、技術や商品力などに大きな差があった場合、目指したとしても到底届かない、という現実がある。そこで、負荷の大きい無理をしてしまうとか、或いは諦めて自暴自棄になるよりは、自分だけにしかないもの、自分にしかできないことでオンリーワンを目指せばいいじゃないか。」と、いったニュアンスで使われるのではないでしょうか。
しかし、よく考えてみれば、例え同業者であっても、仕事の進め方が全く同様の方法であったり、寸分違わない同じ商材を取り扱う、ということは現実にはあり得ません。我が社なりの特徴はなにかしらあるものです。そういう意味では自分が営んでいる事業は、多かれ少なかれオンリーワンということになります。
これを社長に置き換えてみても同様で、同業者といえども、社長によって考え方や事業への取り組み方、構想や夢、といったものは微妙に違います。そう考えれば、世の中に全く同じ社長というのはいないことになり、逆にオンリーワンであって当り前なわけです。
世界の中心で「唯一」と叫んでも
ただここで問題になるのは、それが「際立ったオンリーワン」なのか、「そこそこのオンリーワン」なのか、ということです。オンリーワンというのは日本語に言い換えれば「唯一」ということになります。どうせ「唯一」であるのなら、際立っていなければ面白くない、というのが私の考えるところです。
私はこれまで、「自社の持つストーリーや独自性」といったものを「情報発信(アウトプット)」という形で世に問うことに大きな意味がある、と繰り返し述べてきました。ここでいう「ストーリーや独自性」は、我が社の持つ「唯一性」と言い換えることもできます。
更に、私がこれまで述べてきた「唯一性」というのは、世に知らしめて初めて意味を持ちます。自分自身でいくら「俺はオンリーワンだ。他に代えの効かない存在なのだ!」と、叫んだところで、世の中の人がそう認めなければ全く意味がありません。
つまり、「唯一性」というのは「情報発信(アウトプット)」して周知することで、初めて意味を持ち得るのです。このプロセスを経てようやくその強みを発揮することができる、と言えましょう。
オンリーワン実現のために
こういうことを申し上げますと「いやうちの商売は、所詮どこにでもあるような○○業だから、オンリーワンなどと言えるところなどなにもないよ。」という声が聞こえてきそうです。ただ、そんなことは承知の上で、あえて申し上げているのです。ここで改めて、自分の会社なり事業の特長といえるものをもう一度考えてみて下さい。
確かに、そんな風に自信無さげに言われる社長の会社には、オンリーワンと言えるような際立った特長などないのかも知れません。しかし、前述のようにほかと全く同じということはないはずですので、自社のオンリーワンなところを探して見るべきなのです。
そしてそれを、いかなる形でもいいので、「情報発信(アウトプット)」するのです。そうすれば、そのわずかなオンリーワン部分に、注目する人、共感する人が現れてくる可能性が生まれます。
更に、「情報発信(アウトプット)」は双方向性ですから、その共感者の評価によって、オンリーワン部分がより明確化します。ここで先述の「際立ったオンリーワン」に向かって磨きをかけていくきっかけを作ることができるのです。
それから、これまで何度も申し上げてきましたように、そんなこと(「情報発信(アウトプット)」)をする人はまだ極めて少ないので、それ自体が大きな特徴となります。ここでも、思わぬ形のオンリーワンが実現することになるのです。
オンリーワン、真の条件とは
現代は、他人と同じ横並びであればOK、うまくいった人の真似をしていれば安心、余計なことをしなければまず安全、といった時代ではありません。むしろ、横並びでない部分、我が社にしかない部分、オンリーワンな部分をアピールしていくべきなのです。
「うちは、オンリーワンな部分が結構あって、その点は自信がある。」と、思うのであれば、そこに更に磨きをかけていけばいいと思います。逆にそこが弱い、と感じるのであれば、前述のように少し頑張って探し出し、それをアピールするのです。
いずれにしてもそれは「情報発信(アウトプット)」とペアになっていなければ意味がありません。何故ならば、こちら側の思い込みだけでなく、他者からの評価と掛け合わせることで、真のオンリーワン部分が確定するからです。
現代は、地域においても業種においても「オンリーワン」であることは極めて重要です。その「唯一性」が高い評価の対象となるからです。
ただそれは、一朝一夕に手に入るものではありません。常にそれを目指すこと、そして常に「情報発信(アウトプット)」をして他者の評価にさらされること、が大きな条件になります。
困難ではありますが、目指しがいのある挑戦です。貴社の「オンリーワン」実現のために、継続的かつ意味のある「情報発信(アウトプット)」を続けてみて下さい。
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