参加のハードルが低い格好の自己アピールのステージ、地方メディア―むしろ肉声、肉筆のリアリティーに心が動く時代―Ⅱ(おしまい)
「情報発信(アウトプット)」の効用
「情報発信(アウトプット)」をするということは、当たり前の話ですが、それを全くやっていない人に比べて、より世間の注目をより浴びることになります。初めのうちはそれほどでもなくても、続けていれば、やがてSNSなどの読者は、それなりの数が蓄積されてきます。
さて、この多くの人に注目されるというポジションは、発信者にどういう影響を与えるのでしょうか。多少なりとも何か変化があるのでしょうか。結論から申し上げれば、当然、そういったことを何もしなかったときと同じ状況であるはずがありません。
もちろんここで私が述べている「情報発信(アウトプット)」というのは、あくまでもビジネスライクなものであり、プライベートなものや趣味の世界などは指しません。その内容は当然、ビジネスにおける専門性に関するものがほとんどであることを前提としています。
そういった前提の「情報発信(アウトプット)」というのは面白いもので、それを続けていれば「情報発信(アウトプット)」のやり方だけでなく、自らの専門性についても磨きがかかってきます。それはおそらく、ビジネスを意識したこのタイプの「情報発信(アウトプット)」には責任がともなうということと、注目されることで「もっとレベルを上げなければ・・」と、自分をいい意味で追い込むことになるからです。
客観的かつ俯瞰的な視点の重要性
人は社会人であれば誰でも、仕事を通じて自分の専門性を顧客に提供します。普段それを真摯にきちんと行なっていれば、別に誰に文句を言われることもありません。
専門性を伝えたいのであれば、普段取り組んでいる仕事で充分、というご意見はその通りだと思います。確かにそれが本筋であり、わざわざ自分の専門性を「情報発信(アウトプット)」という別の形で伝える必要性などない、とうのが一般的な見解でしょう。
にもかかわらず、「情報発信(アウトプット)」を通じて専門性を伝えることに意味があるのは何故でしょうか。あえてこんな別ルートを私がお勧めするのにはどんな意味があるのでしょうか・・・
それは自分の専門性に対して、自らに客観的かつ俯瞰的な視点を与えることになるからです。客観的かつ俯瞰的な視点とはどういうことでしょうか。
人は、仕事を通じて自分の持つ専門性を顧客に提供するとき、どっぷりとその中につかっているため、自らを客観的に見ることはあまりしません。またその最中はそうあるべきで、ひたすら集中していなければ、いい仕事も提供できないでしょう。
しかし、現代社会において仕事におけるその専門部分の進化は、様々な業種において日進月歩であることも事実です。その進化した専門性に対する「見直し」は、どっぷりとはまっている仕事の現場にいる時よりも、少し総体的、俯瞰的に見ることのできる「別の視点」の方が適切なのです。
「別の視点」の獲得法は?
ここでは、その「別の視点」というのを、「情報発信(アウトプット)」という手法に置き換えてみればどうでしょうか、とご提案しているのです。「情報発信(アウトプット)」という具体的なアクションを起こすことで「別の視点」が獲得できるとすれば、一石二鳥ともいえる効果が期待できるのです。
こう考えていくと、我々が何をすべきかがわかってきます。
例えば一つの仕事を終えたとき、そこから学んだ様々な事象、教訓、反省など振り返るべきことを、自身の中でそれを反芻し、整理し、表現してみるのです。或いは業界の会合などで、自身の事業に参考になる話など聞いた時は、やはりそれを頭の中で復唱し、整理して書いてみるのもいいでしょう。
特に経営者であれば、そういった使えるネタの幅はかなり広いはずです。自身の専門性についてだけではなく、もっと経営全般の感想であってもいいかも知れません。こういったすべてのことを、その都度、なにかしらのテーマを設定して「情報発信(アウトプット)」してみるのです。
なんだか、小難しい話のように聞こえるかも知れませんが、最初は自分が面白いと思ったテーマからでもいいと思います。なにも杓子定規に真面目なテーマでなければならない、ということはありません。
経営者の専門情報は意外に面白い?!?
ここで冒頭の話に戻りますが、そうやって発信された情報は、それを継続し続けることで、やがて人々の注目を浴びることになります。その認知度が上がれば上がるほど、横並びの業界の中から一歩抜きんでた存在になる可能性が大きくなるのです。
というのは、ここまで述べてきましたように、常に自らの専門性を俯瞰し考察して発信しているために、そのことに対する見識が深くなるばかりでなく、それを目にした人たちにも有益な情報を伝えていることになるからです。専門領域に関する深くて広範な知識というものは、その専門性を持たない人たちにも興味深く、納得性の高いものとして伝わるはずです。
以前から申し上げていますように、経営者の発信する情報というのは、こちらが想定している以上に意外なファンがついたりするものです。つまり、結構「面白い」のです。そこから新たなビジネスの種が広がるかも知れません。
継続的な「情報発信(アウトプット)」というのは、初めなかなかしんどいところもありますが、めげずに続けてみて下さい。必ず、プラス効果となって、それを頑張った経営者にフィードバックされることと確信します。
伝えようじゃありませんか。