売上を伸ばすのはなかなか骨の折れる作業―ビジネス支援、直接法か間接法か悩んだ末に―Ⅳ
[経営者の中の希望や構想を顕在化させる]
口述筆記と経営計画策定は、一方は作家一方は経営者という違いこそあれ、他者の頭の中にあるものを表面化させるという点で両者はよく似ています。
作家の場合、溢れ出てくる構想や言葉の波を、「作品」という形にまで仕上げていくのが仕事といえましょう。
とはいえ、現実的には「口述筆記」で仕上げた作品を世の中に出して、それで食べている、つまり職業にしているという人は、ごくごく少数派と言えます。
それに比べて、経営計画の方はかなりポピュラーな世界になってきています。
それは、経営者の夢や構想を経営計画という形で顕在化させる作業というだけではありません。
もっと基本的なところで言えば、先の見えないリスキーな経営環境の中で、より未来の経営を堅実なものにしていくという意味でもこの経営計画策定を標準化していく必要性は高くなっているのです。
また、夢や構想を実現していくためのコンサルティングや経営アドバイスというのは、経営者が思いつきもしなかったような斬新なアイディアや切り口をこちらからどんどん提供すること、といったイメージがあるのではないでしょうか。
しかしながら、私たちが提供するサポートというのは、基本的にはそんな踏み込んだものではありません。
元々、経営者の頭の中にあったぼんやりした希望やまだ形なっていない構想といったものを引き出し、顕在化させるという作業なのです。
それ以上でもなければ、それ以下でもありません。
経営計画と言っても、私たちが提供するやり方としては、最終的にはそれを「財務諸表」といった、一定のルールに従った形式で表します。
「財務諸表」で最も一般的に知られているのは「決算書」です。
企業はその年の事業実績をもとに決算を組み、「決算書」を作成し、その数字に基づいて税額を決定し税務申告を行ないます。
つまり、ここで作られるのは、その年の実績を表した「過去の財務諸表」ということになります。
これに対して経営計画で作成する「財務諸表」は、まだ実現していないものです。
この場合の「財務諸表」は、同じ「財務諸表」でも「未来の財務諸表」ということになります。
つづく