未来に向かって一本筋を通す―ビジネス支援、直接法か間接法か悩んだ末に―Ⅴ
[作品の出来に影響する速記者の力量]
頭の中で考えていることを文章化するのに「口述筆記」という手法があります。
自分の考えていることを口に出してしゃべり、それを誰かに速記で書きとってもらう、というものです。
カミさんの友人に女性の作家がいますが、その方がこの手法でご自分の作品をまとめあげていると聞きました。
言うまでもなく「口述筆記」は発された「言葉」をそのまま書きとっていく、という方法で進められます。
普通、作家は自分の頭の中にある発想や作品のアイディア、粗筋、或いは作品そのものを自分で原稿用紙に書いたり、ワープロで打ったりするんだろうと思います。
或いは、彼女のように次々と浮かんでくる言葉を第3者に書きとってもらうという手法もあることになります。
たぶん、口述筆記の場合、それを後で丁寧にリライトして一つの作品に仕上げていくのではないでしょうか。
さてここで、話は突然変わりますが、私たち会計人が、経営者の考えていることを「経営計画」にまとめ上げていくプロセスもこれによく似ているな、と思いました。
そのことに触れてみたいと思います。
「口述筆記」の場合、その主体はしゃべり手である作家だったり手紙や親書の送り手だったりということになります。
これに対して「経営計画」ではその主体はあくまでも経営者です。
「口述筆記」にしても「経営計画」策定にしても、速記者や会計人が黒子であることに違いはありません。
表にしゃしゃり出て自分がリード役になってはいけないのです。
とはいえ、これもその作家さんに聞いた話なのですが、速記者にも技量の差があるということです。
その「差」が、作品作成の過程をスムーズにしたり、できそのものに影響したりするらしいのです。
口から出た言葉をそのまま文章に聞き写すだけでしたら、速記者によってそれほど差が出るとは思えません。
しかし実際にはその人によって口述が滑らかにうまくいく場合とギクシャクする場合とあるようなのです。
何故なのでしょうか。
計画を書いてみる
つづく