義理人情の世界と現代経営―ウエットなしがらみをいかに断ち切るかは大きな課題―Ⅲ
[地方経済不振の原因と特徴]
東京から地元鹿児島に帰り、税理士として働き始めて20有余年、地方の衰退が叫ばれる中、経済面での専門家としてその状況をつぶさに見てきました。
現在においても、全体としては不振にあえいでいる地元企業が、業績を伸ばしもっと儲かるための処方箋を考えてみたいと思います。
なおこの見解は、その要因を外に求めるものではありません。
あくまでも内なる原因を徹底的に追究してみてはどうか、という提案なのです。
なぜならば、おそらくこのアプローチが業績回復の処方箋としては最も有効と判断したからにほかなりません。
さて、私から見れば地方における業績不振の要因はたった2つです。
それは、「商品力不足」か「販売力不足」そのどちらかということです。
或いはこの両方ということもあり得ます。
まず、「商品力」から考えてみたいと思います。
実は私の住む大隅地方には、他の地域とは違った大きな特徴があります。
それは農畜産業が盛んであるということです。
農産物や畜産物は、通常生産したすべて或いは育てたすべてが捌けることになっています。
育てた牛や豚が売れないで手元にいつまでも残る、ということはありません。
農産物にしてもまったく同じです。
この農畜産の際立った特徴の一つ「在庫が残らない」という点はなんといっても大きいと言えましょう。
商売をやっていて、最も頭の痛い問題の一つに「在庫の扱い」ということがあります。
在庫が多いということは、帳簿上利益が出ていても資金繰り的には苦しい状況に追い込まれるからにほかなりません。
この「在庫が残らない」というほかの商売から見れば、ある意味かなり有利な条件を持つ農畜産業の業績を左右する要因はたったの2点なのです。
それは「相場」と「商品力」です。
自然環境には恵まれておるのですが・・・・
つづく