世の中の業界のあり方について根本から考える―我々税理士の世界はどうなのだろうか?―Ⅳ
[税理士が珍重された時代]
基礎学力と呼べるレベルはとっくにクリアしていた日本人。
ところが、「読み書き算盤」まではまだいいとして、その税金計算の規範となる税法という奴がやたら難しくてややこしい、ときたのです。
せっかく正直に申告し納税する気満々でいるのに、つまらない間違いをやらかして、後で税務署に大目玉を食うのは割に合わない、と誰もが思います。
大目玉ならまだいいけれど、罰金を含めた多額の追徴税金でごっそり持っていかれたのでは目も当てられない、と、多くの日本国民は考えたのではないでしょうか。
と、いうような背景(半分は私の想像ですが・・・)があって、その「難しくてややこしい税」の専門家である税理士が珍重されるようになったのです。
つまり、税務申告という「お困りごと」が、しかも国の制度として存在していたので、税理士が大いに腕を発揮できる「場」があったという訳です。
自主申告制度化における税務申告が、それを義務付けられている日本国民にとって、結構「お困りごと」であることは今も変わりはありません。
しかし、現在その「お困り度」のハードルは相当下がってきたことも事実です。
一つは高度経済成長時代みたいに、「濡れ手に粟」のような利益がバンバン出てしょうがない、という時代は確実に終わったということがあります。
そういう時代は、世の中の経営者達は、黙っていても儲かって仕方がないから、税金計算のテクニックにはそこそこ注目が集まったという訳です。
小難しい税務について語ります。
つづく