どんぶり勘定の是非―コンサルティングをどう考えるか―
[会計人のホームグラウンド]
それでは、世の中に「決算書を読めるようになろう」系のビジネス書が多いのは何故でしょうか。
それは表向きの正当ともいえる理由は、
「決算書の中には、企業の様々な業績に関する情報が凝縮されているから。」
ということになるのだろう、と思います。
実際簿記会計に関する様々な決まりごとは実によくできていて、古代から培ってきた人類の叡智と言ってもいいくらいのノウハウが詰まっていることは確かです。
しかし一方で、五藤氏の言われるように、決算書の読めない経営者がまるで駄目かといえば、そうでもないことを、我々会計人は経験的に知っています。
それでも我々会計人が、決算書を重んじるのは表向きの話であって、正直なところそうではない理由も垣間見えてくるのです。
それは
「決算書で経営を語る方が、自分たちの得意分野で勝負できる。」
と、心得ているからに他なりません。
我々は、年間、延べにして何百社分の財務諸表を見ています。
会計人にとって、決算書はまさにホームグランドであり、得意分野なのです。
このホームグラウンドで勝負ができればこんな楽なことはないのです。
また、決算書は「結果」の数字です。
経営者の中には先々の「読み」の数字には強くても、決算書のような定型化された「結果」の数字にはあまり興味の持てないタイプの人がいることも確かです。
決算書は得意分野