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若き経営者は時代に合った独自性(オリジナリティー)を持てるのか―良い子と悪い子に分かれる後継者―

海江田博士

海江田博士

テーマ:中小企業経営を考える

こういったことを2,3回繰り返すと、大抵の場合、後継者は諦めて「良い子」になってしまいます。
実績のない後継者にとって、それでも先代に逆らいきる、というのは極めて困難なことなのです。
結果として、自分の主張を通すことを放棄した「良い子」は先代のビジネスモデルを踏襲します。
ところがそのモデルは、とっくの昔に陳腐化してしまった考え方や手法に基づいているために、現代に通用するはずもありません。

もともと厳しい経営環境の中、通用しないビジネスモデルでやらされるのだからうまくいく訳がないのです。
本人も仕事をやっていて面白くもなんともないし、当然結果は出ません。
そうすると本業よりも、だんだん仲間とのサークル活動的な方向へと走り始める者が出てきます。
やたら、ゴルフの腕が上達する者もいます。
また、夜の繁華街でちょっとした顔になる者も少なくありません。
いずれにしろ、こういった方面へ投入するエネルギーは、どう理屈をつけようとも本筋でないことだけは確かなのです。

先代も、自分の指導による経営がうまくいっていないという引け目もあるのか、この点については後継者に対してそれほどうるさくは言いません。
自分の事業のやり方にあれこれ口を突っ込まれるよりはマシ、と思っているのかも知れないのです。
また、息子にとって唯一の味方であるはずの母親も、昔から財布を握っているので、こと事業に関してはおいそれとは後継者の側にはついてくれません。
先代との夫婦仲がそれほど良くなくても、この点では先代と共同戦線を張ってなかなか息子に譲歩してはくれないのです。
こういう場合母親は「小遣いをあげるから・・・」という形で後継者を甘やかし大人しくさせたりもします。
後継者が嫁でも貰って
「そろそろ、経理をうちのカミさんにやらせたいんだけど・・・」
なんて言った日には、逆鱗に触れてほとんど父親以上に手ごわい敵になりかねないのです。

結果、親子で取り掛かっているにもかかわらず、本業はなかなか不振から抜け出せないということになります。
全くの悪循環です。
私は、そんな事例をいやというほど私は見てきました。
現代は「良い子」が受難の時代なのです。


つづく

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海江田博士
専門家

海江田博士(税理士)

税理士法人アリエス

税務相談はもちろんのこと、従来の税理士としての職務に留まらず経営者自身で革新できることを目指した支援を続けています。日本経済をしっかりと支えられる強い基盤を持った中小企業への第一歩のお手伝いをします。

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